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MLB通算509本塁打の強打者が激怒した「死球直後の牽制」【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】#18  メジャーリーグといえば、ド派手な乱闘も有名です。僕は一度だけ、大男たちの殴り合いに遭遇したことがあります。  メジャー1年目の2008年。場所はインディアンスの本拠地プログレッシブ・フィールド。相手はタイガースでした。  点差やイニングなどは忘れましたが、打席にはタイガースのゲーリー・シェフィールドがいました。  シェフィールドはメジャー通算2689安打、509本塁打のスラッガー。ドジャース、ブレーブス、ヤンキースなどを経て当時39歳。野球選手としては晩年でした。 ■年齢も名前も偽装していた  一方、マウンドにはインディアンス先発のファウスト・カルモナ。前年には19勝してチームの地区優勝に貢献した24歳の若手右腕……と言いたいところですが、実は27歳だったんです。  ドミニカ共和国出身でビザを偽装しており、それが後になって発覚。年齢を3歳偽っていたのです。ちなみにカルモナも偽名で、本名はロベルト・ヘルナンデスなんだとか。  それはともかく、このカルモナが投げた内角球が、ボールをかわそうとしたシェフィールドの背中か脇腹付近を直撃。不穏な空気が漂う中、シェフィールドはカルモナをにらみつけながら一塁に向かいました。  問題はこの後です。出塁したシェフィールドがリードをとった瞬間、カルモナが牽制球を投げたのです。これに、ただでさえ血気盛んな大ベテランがブチ切れた。  これがメジャーの不文律なのかどうかはわかりませんが、シェフィールドにすれば「人に当てておいて、大したリードでもないのに牽制か!」という思いだったはず。 ■5、6人が退場の大乱闘  しかも、カルモナはまだ打者に1球も投げていません。慌てて帰塁したシェフィールドがマウンド上のカルモナを大声でなじると、カルモナも言い返す。乱闘のゴングが鳴った瞬間です。  シェフィールドはヘルメットを脱ぎ捨て、猛然とダッシュしてカルモナにタックル。これを受け止めたカルモナは左手でシェフィールドを抱え込み、空いた右腕で大ベテランの頭を何度も殴りました。  あとは両軍入り乱れて大乱闘。右翼のブルペンにいた僕は出遅れ、内野にたどり着いたころには敵も味方もぐちゃぐちゃに入り交じって、そこかしこで殴り合い。最終的に5、6人が退場になりました。  屈強な男たちの乱闘はとにかく迫力満点だったことに加え、死球そのものでなく、その後の牽制が騒動の引き金になった点が印象的でした。 =つづく (小林雅英/元プロ野球投手)

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