日本語学者・お笑い芸人のサンキュータツオ “ヤバイ”は泥棒言葉だった?「時代とともに、いい意味になっている」
日曜日の昼下がり、静かな通りに佇む一軒の店「your time」に集うお客様たち。カウンター越しには、それぞれの個性あふれる物語が聞こえてきます。パーソナリティのチャンカワイがお届けするTOKYO FMの番組「ヱビスビール presents Color Your Time」。 1月9日(日)、1月16日(日)放送回のゲストは、日本語学者でお笑い芸人のサンキュータツオさん。自分時間「my time」にまつわる物語をひも解いていきます。
◆趣味は「国語辞典」を読むこと
チャンカワイ:サンキューさんの趣味の時間をお聞きしたいです。 サンキュータツオ:国語辞典を読むことですね。 チャンカワイ:え? どういうことですか? サンキュータツオ:自分がこの言葉の項目を書くとしたら、なんて書くのかなっていうところから始まるんです。 チャンカワイ:執筆者目線や(笑)。 サンキュータツオ:だから戦いなんです。例えば「ヤバイ」って言葉は、昔は泥棒用語でよくない言葉として使われていたんですけど、最近では「このラーメン、超ヤバイ」ってときには、美味しいっていう意味ですよね。 これをどうやって説明すればいいのか? って思ったときに、まずは全部の出版社の国語辞典を読むんです。 チャンカワイ:へー! サンキュータツオ:だから広辞苑で「ヤバイ」を収録したときにびっくりしたんですけど、「何かにのめり込みそうだ」っていう説明なんですよね。「ラーメンがヤバイ」は、のめり込む一歩手前だと。だから時代とともに、どんどんいい意味にもなっているんですよね。 何でもかんでも語彙が豊富であればいいってわけではなくて、少ない言葉でもたくさんのことを表現できるというのが日本語の面白さですね。 チャンカワイ:日本語が好きなんですね。 サンキュータツオ:そうなんです。 チャンカワイ:漫才の面白さも日本語の面白さから? サンキュータツオ:漫才は結果がすぐに返ってくるから、それってめちゃくちゃ面白い実験じゃないですか。別にウケてもスベってもどっちでもいいんです。もちろん、ウケたほうがいいですけど(笑)。