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れるりり、活動10周年 人気ボカロPが語るシーンと未来:インタビュー

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 ボカロPのれるりりが26日、活動10周年記念ベストアルバム『羞恥心に殺される』をリリース。2009年にニコニコ動画を中心にクリエイターとして活動を開始。2012年に発表した楽曲「脳漿炸裂ガール」が話題となりシーンを担う存在となった。現在までの累計総動画再生数は1億再生を突破している。また、「脳漿炸裂ガール」は同曲を原作にした実写映画が2015年7月にアベユーイチ監督、私立恵比寿中学の柏木ひなたと竹富聖花のW主演で公開された。自身の音楽活動について「僕の音楽でみんなに楽しんでもらうことが目的」と話すれるりり。れるりりのルーツや楽曲制作の裏側、今後の目標などを聞くとともにシーンの現状と未来について語ってもらった。【取材=榑林史章】

ボカロPの数だけ自由があります

――最初にボカロで曲を作るようになったきっかけは?  最初はニコニコ動画を視聴者として楽しんでいて。よく覚えていないですけど、たしか友達の家でみんなと見たのが最初だったと思います。そんな中で僕よりも早くからボカロで曲を作っている人の曲を聴いて、すごく自由に作っていると感じたので、僕もそこに参加してみたいと思ったのがきっかけです。 ――ボカロPとして活動する前に、何か音楽活動をやっていたんですか?  高校を卒業してから、バンドでギターをやっていました。ソウル/ファンク寄りのJ-POPみたいな音楽性で。もともと家族がそういう音楽を聴いていて、スガシカオさんや山崎まさよしさんなどをすごく聴いていたんです。それから洋楽のソウルなども聴くようになっていった形です。LaBluzuというバンドで、当時代々木にあったソウル/ファンク系のバンドが多く集まるライブハウスで、よくライブをやっていて。そのバンドでは、ミニアルバムを出しました。 ――バンドからボカロPになったのは、バンドにはない魅力がボカロにあったということですよね。  そうですね。自分が歌って欲しい曲を他人に歌ってもらうことって、すごく難しいんです。本人に「歌いたくない」と思われたら、どんなに自分が歌って欲しくても、歌ってもらえない。バンドをやっていて、そういうことが何度もあって。でもボーカロイドは文句も言わず素直に歌ってくれるので、初音ミクが出てからは曲を作ることがすごく楽しくなりました。 ――最初からすぐにできたましたか?  最初は時間がかかりましたよ。何度も「もう二度とやるか!」と思って諦めようとするんですけど、数日経つともうちょっとやってみようかなという気持ちになって。それで少しやっては、また「無理だ!」となって。そういう繰り返しで少しずつ慣れていって、僕の慣れに比例してボーカロイドもイメージ通りに歌ってくれるようになって。すると次はパラメーターをイジるようになったりしていって、そういう過程がすごく楽しかったです。 ――「れるりり」という名の由来は?  名前の意味は何もなくて。名前を何にしようか悩んで、目をつむって適当にキーを打ったら「れるりり」になっていたので、これで良いやと(笑)。だから名前と音楽性との関連性は全くないです。 ――投稿を始めたのは2009年だそうですが、当時はsupercellやDECO*27など人気Pが活躍し、「炉心融解」など殿堂入り楽曲が多く生まれました。当時のインターネットやボカロのシーンはどんなふうに感じていましたか?  ボカロが一番盛り上がっていた時代だと思います。僕の曲の中でも有名な「脳漿炸裂ガール」をアップしたのは2012年ですが、そのころになると、毎週のように何かしらのミリオンが生まれていて。 ――ボカロPで生計が成り立つようになったのはいつくらいからですか?  2010年にアルバム『MUGIC』を自主制作してコミケで販売したり、ボカロのコンピレーションアルバムに参加したりしていました。でも自分でちゃんと青色申告をし始めたのが7~8年前だから、そこから逆算すると2012年くらいからかな。まだアルバイトも少しやっていたかもしれないけど、そのころから何となく音楽で食えるようになっていたと思います。 ――この10年でボカロのシーンはどのように変わったと思いますか?  作る人も聴く人も若干減ったかな、という気はしています。全盛期が凄すぎたというのもあるでしょうけど。今はボカロが世の中に浸透して市民権を得て、そのぶん落ち着いているのかもしれません。 ――れるりりさんは初音ミクだけでなく、VOCALOID FukaseやGUMI、鏡音リン&レンなど複数のボカロを曲によって使い分けていますが、自分の中で使い分けのルールみたいなものはありますか?  いえ、頭の中で鳴っている歌が男性キーか女性キーかで変わりますし、その中でより曲のイメージに近いものを使う感じです。ざっくり言うと、その時の気分ですね。 ――男女とか声域に制限されずに作れるのは、ボカロならではの自由さですね。  そうかもしれないです。それにボカロで曲を上げるのはすべてセルフプロデュースですし、どうやったら面白い曲ができるか、どうやったら聴いてもらえるか、どうやったら売れるかということまで自分で考えるんです。だから、ボカロPの数だけ自由があります。  面白いと思うのは、最終的にはひとつの音楽データとして、ポップスなどいろんな音楽シーンのアーティストの曲と同じ次元で聴いてもらえるということ。生のボーカリストが歌っているものと比べてもらえたりするのは、とっても面白いし楽しいです。僕の名前も顔も知らないから、「この人は何のためにやっているんだろう。何を訴えようとしているんだろう」って、より真剣に耳を傾けてくれるんです。 ――平等に聴いて評価してもらえると。  そうです。何かしらリスナーに刺さった回数が多い人は、その中の何かが優れているわけで、その優れている部分を、ちゃんと見てくれるという感じがありますね。 ――ボカロのヒットの仕方とか研究しましたか?  そうですね。全盛期のころはとにかく盛り上がっていたので、そういう曲をいっぱい聴いて自分なりに分析していましたね。再生回数も最初から気にしていて、今もそれは気にしています。

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