”永野芽郁似”の元タカラジェンヌ男役が「女性に戻るまで」の苦悩
宝塚歌劇団99期生、雪組 陽向春輝の名でタカラヅカを駆け抜けた、大原万由子さん。7年間在籍し、2019年2月に24歳で退団した彼女はいま、積極的にオーディションを受け『僕のヒーローアカデミア』など2.5次元の舞台を中心に活動の場を広げている。今年の9月からは舞台『鬼滅の刃』への出演も決定した。退団後、女優の道を選び、悩んだのは、「女性の演じ方がわからなかった」。どのような苦労があったのだろうか。 【画像】永野芽郁似…!「雪組 陽向春輝」の名で活躍した大原さん ◆プロテニスプレイヤーを目指した少女時代 大原さんのInstagramの写真を見ていると、やわらかい雰囲気の女性らしい表情が多い。インタビューしてみると、太陽のように明るく、タカラヅカ時代の名前の由来がわかるような気がした。話しているうちにくるくるとかわる表情は、人を惹きつける力がある。 もともと大原さんはなんとプロテニスプレイヤーを目指していたそうだ。テニスをきっかけに出会った両親が、3歳から硬式テニスのスクールに通わせてくれたことがはじまり。なにごとも頂点を目指すべきという彼女のポリシーから、プロテニスプレイヤーになるべく努力を重ねた。中学生になる頃には、テニススクールをかけもちし、テニス部にも入部するというテニス三昧の日々を送っていた。 当時は起きているほとんどの時間をテニスに費やしてきたが、どこか冷静に自己分析していたようだ。中学3年生を迎える頃には、自分の成績や周りの選手の実力を見て、プロにはなれないと判断したのだ。 幼いころからテニスへの憧れと同時に胸にしまってあった、女優への夢が開花する。高校1年生になる春、ドラマ『アテンションプリーズ』を観たことで、大原さんの夢ががらりと変わることになる。 「このドラマの真矢ミキさんに憧れて、動画検索をしたら、宝塚歌劇団の動画にたどり着いたんです。それまでは、真矢さんがタカラヅカ出身だということも知らなかったのですが、動画を見た瞬間に、〝ここに絶対入りたい!〟と思ったんです。もっと言うと〝真矢ミキさんになりたい〟と」 タカラヅカに入りたいと決意してからの行動は早く、それまで通っていたふたつのテニススクールを辞め、学校のテニス部にも退部届を出した。さっそく、タカラヅカ受験用の塾を見つけ、入塾させてもらえるように母に頼み込んだ。入塾時にはまだ宝塚歌劇団の公演を生で観たことがなかったというから驚く。入塾してから数か月後に、初めて生で観劇した時には、目指す世界が間違いなくこの場所であると確信したそうだ。 しかし、バレエや声楽もゼロからのスタート。そこからは週5回のレッスンに通い、高校1年生の2月、1年足らずで合格した。テニスで培ったストイックな姿勢が役立ったのだろうか。