裸で火炙りに… パプアニューギニアの「現代の魔女狩り」が残忍すぎる
突然の暴力
男たちはブッシュナイフを振り回してやって来た。前の晩に亡くなった赤ちゃんの復讐をしようと思ったのだ。彼らは、赤ちゃんが呪術によって殺されたと言った。そして前日の朝、たまたまこの赤ちゃんに会った33歳のコライという女性が犯人だと主張した。 【画像】裸で火炙りに… パプアニューギニアの「現代の魔女狩り」が残忍すぎる 彼女はパプアニューギニアの首都、ポートモレスビー郊外にある自宅から引きずり出された。男たちは彼女の両手の骨を折って棒に縛り付け、熱い金属の棒で背中と腹を焼いた。彼女がいまも生きていられるのは、息子が警察に通報したおかげだ。 「彼は私の命を救ってくれました」とコライは言う。彼女が襲われたのは2023年6月のことだが、皮膚にはまだ傷痕が残っており、片方の手は骨がうまくつながっておらず、デコボコしている。 「私は赤ちゃんを殺していません。呪術師が何なのかさえ知りません」
「煙」が犯人を決めることも
パプアニューギニアでは現在、彼女のような被害が頻発している。研究者によれば、少なくとも一部地域でこのような事件が増加していることが、事例証拠から示唆されているという。 これらの暴力は、世界には悪霊が存在し、悲劇が起こるのは呪術が原因であるという、現地の人々の信仰を反映しているものと見られる。 パプアニューギニアでは、突然の死や病気をはじめとする悲劇的な出来事に見舞われた際、犯人を「グラスマン」と呼ばれる占い師が決めることがある。彼らは竹の棒を燃やし、煙の方向によって犯人、つまり「呪術を使ってその悲劇を起こした人物」を一方的に決める。複数の人が同時に罪を着せられ、捕らえられる場合もある。 社会の変化が暴力を悪化させていると考える人々もいる。パプアニューギニアは資源が豊富で、外国からの投資も増加している。だが同時に、多くの人にとって経済的機会は限られたままであり、それがフラストレーションや緊張、怒りを生み出すきっかけとなっている。
5人に1人が死に至る
木の棒に吊り下げられた女性が、胸や太ももを熱い金属の棒で焼かれる様子が、人々に撮影されていた。「暴力はますます過激になっています」と話すのは、呪術の告発について研究しているオーストラリア国立大学のミランダ・フォーサイス教授だ。 研究者たちが見せてくれたある写真では、裸の女性たちが金属板の上に目隠しをされた状態で座らされており、その下で火が燃えていた。 人々が呪術の存在を信じていると同時に、呪術師を罰したいという欲望が広く共有されているため、加害の多くは報告されないままだ。 地理的な理由から、正確なデータをとることも難しい。この国には、何百もの異なる言語を話す人々が、カリフォルニア州ほどの面積の国土に点在しているうえ、信頼できる国勢調査は何年もおこなわれていない。 オーストラリア国立大学の研究者らは、2016年から2020年にかけて、パプアニューギニアの4つの州で起こった1039件の事例を記録している。これらの事件により1553人の被害者が出ており、およそ300人が負傷または死亡した。 こうした慣行はパプアニューギニアに限らず、アフリカやアジアでも記録されている。国連は、人々の呪術に関する誤解を解こうと努めてきた。世界保健機関のあるキャンペーンには、「結核は呪術によって引き起こされるものではありません」と書かれている。 パプアニューギニアでは2013年まで、裁判で犯人側が「呪術の疑い」を正当な抗弁として使用することが認められていた。2年前、パプアニューギニア政府は「グラスマン」の活動を犯罪としたが、人権活動家らによれば、彼らが起訴されることは依然として稀だという。
Emma Bubola