クラウドファンディングは地方の鉄道を救うか ファンだけでなく鉄道事業者自ら実施する例
新型コロナウイルスが世界中に影響を与えている。感染拡大防止の観点において、テレワークの推進や都道府県を跨ぐ移動の自粛、不要不急の外出自粛などの影響から、日本の鉄道は多くの路線で、今後の存続問題が浮上している。 【写真】高松琴平電気鉄道(ことでん)の1300形はもともと京浜急行電鉄の1000形。ひたちなか海浜鉄道では鉄道神社の鳥居の奥に再塗装されたキハ222が見える ■観光列車も厳しい 2022年4月11日、JR西日本は輸送密度(1kmあたりの1日平均通過人員)が、2000人未満の17路線30線区の収支を発表した。その内容はかなり厳しいものがあり、輸送密度が200を下回る路線も見られた。ちなみに1日平均が200未満という実績は、鉄道輸送であることの意味が薄く、バスなどの他の交通機関への転換が必要になってくる数字である。
しかし、鉄道(特に駅)の存在はほかの交通機関と異なり、沿線にとって物流や人流の拠点としての役割も大きく、そのことから「鉄道存続」を願う声は大きい。最近では収益効果を高めるために、「地元密着の価値」から、「観光遺産としての価値」に比重を移している鉄道事業者もある。ここ数年は地方私鉄でもさまざまな観光列車が登場している。しかし、その計画も「コロナ禍」により、思うように進まないのが現状だ。 そんな中、地方の鉄道事業者が次なる戦略の1つとして考えているのが、「クラウドファンディング」である。
クラウドファンディングとは個人(または法人)が、大きなプロジェクトや夢を実現させるために目標金額を設定し、インターネットなどで資金(支援者)を募るというもの。達成したあかつきには、支援者へ協力した金額に応じて、返礼品などが配られたりするもので、クラウドファンディング専門の事業者が管理運営を行っている。 鉄道にまつわるクラウドファンディングも注目を浴びている。そのいくつかを紹介したい。 クラウドファンディング企画では鉄道ファンが発起人として計画するものが多いが、その中でも注目を浴びたのが、ことでん貸切乗車団CFプロジェクトチームが2018年に実施した「もう一度、“初代1000形”が見たい。京急の代名詞を当時のカラーへ」である。現在も高松琴平電気鉄道(以下:ことでん)で活躍する元京浜急行電鉄(以下:京急)の名車1000形を、京急時代の赤塗装に戻すというものだ。