大手前高松が1-0で坂出商に競り勝ち2年連続2度目の選手権出場
2年連続2度目の選手権出場を狙う大手前高松と、大会初の決勝戦に駒を進めた坂出商とによる最終決戦。両校ダブルボランチの「4-4-2」システム同士によるミラーゲームの中、特に前半はお互いの狙いがよくピッチ上で現れた好ゲームとなった。 【フォトギャラリー】坂出商 vs 大手前高松 まず大手前高松は、父がイタリア人とドイツ人のハーフ・50メートル走6秒1の圧倒的スピードを誇るFW足立大和(3年)による縦へのスピードを使いつつ、敵陣深くに入ると初出場で1勝をあげた前回選手権でも大きな話題を呼んだロングスローを多用。MF正木浩輔(3年)による変幻自在の弾道はキャプテン・川瀧玲(3年)がCBの位置からけん引する坂出商守備陣を大いに困らせた。 ただ、坂出商も粘り強い守備から「ボランチを経由して逆サイドに振って攻めていく」(細川裕介監督)チームコンセプトを着実に体現。特にカマタマーレ讃岐U―15出身のボランチ・高畠隼人(2年)からMF國重和基(3年)が控える左サイドへボールが供給された際は、有効なクロスまでつながるチャンスが作れていた。 こうしてやや大手前高松が押し込みながらもスコアレスで折り返した前半。ここで大手前高松・川上暢之監督は「相手のいいところを消しながら勝負にこだわる」策を打つ。前半1年生ながら前線で上級生と互角以上のバトルを演じていたFW大津晋太郎に替え、MF真鍋地広(2年)を右サイドに投入。右サイドの松田築(3年)を左サイド、左サイドだった正木をサイドに流れるトップ下に入れ、中盤でつないでくる坂出商のパスコースを封じにかかった。 かくして狙い通り、中盤でのパスカット数を増やす大手前高松。そして56分、ついに歓喜の瞬間が訪れる。 「ボランチを使うのが解っていた」足立のパスカットから始まった右サイドからの攻撃でボールを持ったのは正木。相手DFのスライディングをダブルタッチでかわし、左足でのコースを作った彼は「ゴールに向くような」クロスを選択。低いグラウンダーのボールは逆サイドからニアサイドに突っ込んできた松田により相手GKにブラインドを作り、そのまま逆サイドネットへ。先制点でがぜん有利となった大手前高松は残る時間は「徹底の練習もずっとやってきた」と昨年からの守護神・三谷幸記キャプテンも胸を張るリスクを回避する闘いを演じ1-0。2年連続2度目の選手権出場をクリーンシートで達成した。 「昨年で全国の基準を知ることができたので、守備の経験値が上がってきている」試合後、後半の闘いには合格点を与えた大手前高松・川上監督。全国の舞台では「つないでいく」自分たちのスタイルは頭に残しつつ「相手にやらせなければいい」大人のサッカーも駆使し、昨年は矢板中央の前に果たせなかった全国2勝目・そして目標の「ベスト8入り」を堂々と狙う。 (文・写真=寺下友徳)