無敵すぎる悪役を怪演! 香港No.1ヒット作でブレイクしたアクション俳優フィリップ・ンのこれまで
人気スターとの共演作で、着実にキャリアを積む
――『ツインズ・エフェクト』と同じ02年に公開されたF4のヴァネス・ウーさん主演の『スター・ランナー』も、フィリップさんにとって大きな転機になった作品ですよね? この作品は俳優やスタントマンとしてのほか、チン・カーロウさんの下で初めてアクション監督も務めた作品です。しかも、ヴァネスとアンディ・オンという、自分の人生で大切な2人の親友と出会うことができたことも大きいです。撮影ではワイヤーを使った危険なスタントも多く、回転の仕方や落ち方を間違えたことで、意識を失ってしまうこともありました。 一度失敗してしまうと、その後が怖くなってしまうのですが、ガーロウさんに叱咤激励されながら、なんとかやり切ることができました。 ――07年のドラマ「詠春」ではニコラス・ツェーさんと共演したほか、詠春拳を通じて師弟関係になりました。 私はずっと詠春拳を学んできたこともあり、ニコラスから「ドラマ撮影のためだけでなく、本格的に詠春拳を教えてほしい」と言われました。それ以来、彼は真剣に取り組んでくれました。ある日、ホテルのニコラスの部屋のドアが開いていたんです。それで彼をビックリさせようと思って、部屋に忍び込んだら、ニコラスは詠春拳ではない別の拳法の練習をしていたんです。 「詠春拳以外も本気に学びたい」という彼の貪欲な精神に圧倒され、さらに親交を深めていきました。その後、ニコラスは『新少林寺/SHAOLIN』(11年)でも詠春拳を披露しているのですが、独自の技を組み込んでいるんです。今の彼は料理人としても知られていますが、とにかく何に対しても真摯に取り組む性格なので、きっと星付きレストランのシェフ並の腕前だと思います。 ――そして、フィリップさんの代表作といえる『悪戦』(13年・京都ヒストリカ国際映画祭にて上映)。これまでジミー・ウォングや金城武らが演じてきた人気キャラ、馬永貞を演じられました。 プロデューサーのウォン・ジンさんが、僕のために潤沢な製作費を集め、『酔拳』のユエン・ウーピンさんをアクション監督として招いてくれた初主演作です。馬永貞の親友役は私生活でも親友のアンディ・オンに決まったことで、ウォン・ジンポー監督はもともとの脚本に手を加えてくれて、2人の関係性が生き生きと描かれたと思います。 このとき、サモ・ハンさんとも共演できて、とても光栄でした。私はこれまで50本近くの映画に出演していますが、「フィリップ・ンのベスト作品は?」と聞かれたら、『悪戦』と答える人がいちばん多いぐらいの自信作です!