未来に向けて 社会を引っ張る「挑戦者」に
“よりよい商品をつくっている”だけでなく、“よりよい社会をつくっている”企業として、社会から応援される存在でないと生き残れない。そんな危機感を抱く企業が増えています。消費者に選んでもらえなくなる、小売店で扱ってもらえなくなる、株主から資金調達できなくなる、優秀な人材が集まらなくなる、他企業とのアライアンスが結びづらくなる――。様々な理由から、社会から支持される企業になる重要性が高まっているのです。この連載では、書籍『なぜか「惹かれる企業」の7つのポジション』(日本経済新聞出版)をもとに、社会と向き合う技術を磨く「ソーシャル・ポジショニング」の方法を解説します。 社会で起きている物事は、どの立場からみるかでみえ方がまったく変わります。そのため、自分たちはどの立場から社会と向き合い、よりよく変えていくのか。チーム内でポジションを共有していないと、一貫性のある姿勢や行動は生まれません。「7つのポジション」にあてはめながら、自分の会社はどこのポジションをとるべきかを考えて、チームメンバーと議論してみると面白いと思います。第2回は「挑戦者」ポジションです。人を引きつける未来づくりを考えてみましょう。
「挑戦者」ポジション/みんなが見たくなる未来を掲げ社会を牽引
「挑戦者」ポジションとは、みんながみたくなる/叶えたくなる未来像を掲げ、その実現に向けて社会を牽引する企業のポジションです。 「挑戦者」ポジションにいる企業は、商品やサービスの「機能」について語るのではなく、その企業が描く「未来」について語る必要があります。未来へのマニフェストを表明するのです。生活者は、企業が描く未来に賛同して商品やサービスを購入したり、企業が描く未来を体験してみたいという動機で購入したりします。 最近、拡大を続けているクラウドファンディングも、単にモノを購入するのではなく「資金はないけど、つくりたい未来がある」という挑戦を応援することが、魅力のひとつになっています。 「挑戦者」ポジションには、経営者やプロジェクトオーナーの熱い想いが欠かせません。理屈を積み重ねた未来予測をしても、みんながワクワクする魅力的な未来は描けないからです。理屈よりも、経営者やプロジェクトオーナーの確固たる信念や使命感を起点としたほうが、社会を惹きつけることができるのです。