兄にだけ〈生前贈与3,000万円〉、遺言書では思いっきり遺留分を侵害され…親の死から10年後、弟が気づいた「とんでもない事実」【弁護士が解説】
生前贈与がある場合の遺留分侵害額の計算方法
生前贈与がある場合、遺留分はどのように計算するのでしょうか? ここでは、次の前提で順を追って解説します。 ・相続人は、被相続人の長男と二男の2人 ・被相続人は、長男に5,000万円相当、二男に2,000万円相当の遺産を相続させる旨の遺言書を遺していた ・被相続人は、相続開始の5年前に、長男に対して3,000万円相当の財産を贈与していた ・そのほかの特記事項はなし ステップ1:遺留分の基礎となる財産を計算する はじめに、遺留分計算の基礎となる財産を計算します。遺留分計算の基礎となる財産は、次の式で算定します。 遺留分計算の基礎となる財産の価額=(被相続人が相続開始のときにおいて有した財産の価額)+(遺留分計算の対象となる贈与の価額)-(被相続人の債務) 例のケースでは、次の額が遺留分計算の基礎となります。 遺留分計算の基礎となる財産の価額=5,000万円+2,000万円+3,000万円(生前贈与)=1億円 ステップ2:自身の遺留分割合を確認する 次に、自身の遺留分割合を確認します。このケースにおいて、長男と二男の遺留分割合はそれぞれ次のとおりです。 長男:4分の1(=遺留分割合2分の1×法定相続分2分の1) 二男:4分の1(=遺留分割合2分の1×法定相続分2分の1) ステップ3:自身の遺留分を計算する 次に、ステップ1で計算した遺留分計算の基礎となる価額に遺留分割合を乗じて、自身の遺留分の額を計算します。このケースにおいて、長男と二男の遺留分は、それぞれ次のとおりです。 長男:1億円×4分の1=2,500万円 二男:1億円×4分の1=2,500万円 ステップ4:遺留分侵害額を計算する 最後に、遺留分侵害の有無と、遺留分侵害額を計算します。例のケースでは、それぞれ次のとおりです。 長男:実際に受け取った金額8,000万円(=遺言で5,000万円+生前贈与で3,000万円)≧遺留分2,500万円。よって、遺留分侵害額はない 二男:実際に受け取った金額2,000万円<遺留分2,500万円。この差額である500万円(=2,500万円-2,000万円)の遺留分を侵害されている そのため、例のケースでは、二男から長男に対して500万円分の遺留分侵害額請求をすることが可能です。
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