北村一輝”マスター”のド正論に信頼しかない…視聴者の思いを代弁した名言とは?『わたしの宝物』第6話考察レビュー
冬月(深澤辰哉)はまだ「托卵」と知らない…。
美羽は真琴に追及されたときも、冬月のことを庇っていた。真琴の企みで冬月と直接顔を合わせた時は、「これは私の家族の問題だから、冬月くんには関係ない」と突っぱねていた。裏を返せば、冬月には何も背負わせたくないということなのだろう。 「私ひとりの罪だから一生ひとりで背負っていく」と真琴に明かしたことや、冬月をきつく突き放したところからみても、美羽は本当に強くなったと思う。美羽を演じる松本若菜の覚悟を宿らせた瞳は吸い込まれそうになるほど美しかったし、真に迫る演技には思わず息を呑んだ。 美羽は不安定なところはあるものの、“悪女”になると決めてから一度もその根幹がブレていない。でも、その揺るがない心で冬月を守ったことが、結果的に宏樹の心をぽっきり折ることに繋がってしまった。家族や冬月の幸せを守ろうとしたら、全てを失ってしまったというのがなんとも無常だ。 冬月は当事者でありながら、美羽に守られ、いつも蚊帳の外にいる。自分が原因で美羽たち夫婦に亀裂が入っていることを知らないし、栞が自分の子であることも知らない。でも、どっちも知ってしまったとき、冬月はどのような行動をとるのだろうか。 水木莉紗(さとうほなみ)の告白にちゃんと応えたいと言いつつも、美羽を想っていた冬月。きっと彼なら、自分の子どもを美羽と一緒に育てたいと思いを巡らすのではないだろうか。 美羽がとくに何も言わず出て行ったのは、これが“天罰”なのだと受け入れたからなのだろう。栞はこの先本当の父親を知らずに生きていくのかと考えていたが、母親を知らずに生きていく可能性もあるのかもしれない。 冬月とは継続して不倫していたわけではないが、ほんの短い期間の過ちが、これほどの事態を招くなんて。次週はきっと、もっと悲しく恐ろしい展開が待ち受けているのだろう。 【著者プロフィール:西本沙織】 1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
西本沙織