北村一輝”マスター”のド正論に信頼しかない…視聴者の思いを代弁した名言とは?『わたしの宝物』第6話考察レビュー
松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送中。本作は、「托卵(たくらん)」を題材に、”大切な宝物”を守るために禁断の決断を下した主人公と、その真実に翻弄されていく2人の男性の運命を描く愛憎劇だ。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】北村一輝のしびれる名言とは? 貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『わたしの宝物』劇中カット一覧
「托卵」だと知ってしまった宏樹(田中圭)は――。
夫婦のカタチは夫婦の数だけある。宏樹(田中圭)が托卵の事実を知ってしまった今、彼らはどんな選択をするのだろうか。 『わたしの宝物』第6話。宏樹は栞を連れて海を訪れたものの、どうしていいかわからずにいた。心中しようとしていたはずなのに、しっかりマザーズバッグやミルクを持ってきている。そんなところには、やっぱり栞への愛情を感じずにはいられない。 カフェに立ち寄った際には、老夫婦が栞に「今日はパパとお出かけですか?」なんて声を掛ける。“パパ”というワードが飛び出した時、宏樹の表情が少しこわばったのを私たちは見逃さない。その2文字を耳にするだけで、宏樹はいとも簡単に自分が栞の父親でないことを痛感させられてしまう。 美羽(松本若菜)は2人が姿を消した原因が、自分にあることを知る。真琴(恒松祐里)に冬月(深澤辰哉)との不倫を責め立てられた美羽の顔は、少し怒りが滲んでいるようにも見えた。これは、自分への怒りでもあるのだろう。大切な宝物である家族を傷つけた罪深さを、一身に受け止めている。
マスター(北村一輝)の言葉に共感
夫婦には夫婦にしかわからないことがあるし、他人が口を出すことではない。宏樹に不倫を告げ口したことをはじめ、ナンセンスな行動を重ねた真琴に、苛立ちを覚えた視聴者も少なくはないだろう。 喫茶店のマスター・浅岡(北村一輝)が口にした「あんたが動けば動くだけみんな不幸になってんじゃないの?」「正義振りかざすのも程々にしないと」「あいつらの正解をさ、あんたが決めんなよ」というセリフは、真琴に対してモヤッとした感情を抱える視聴者の声を代弁してくれた。 第2話で会社と家庭に疲弊する宏樹の“青たん”を1つ消し去ってくれた時から、浅岡には信頼しかない。宏樹が美羽のもとへ戻ってきたのも、彼の言葉がきっかけだった。 美羽との話し合いの時、テーブルを挟んで向き合うわけでもなく、ソファーに横並びになるわけでもなく。薄暗い部屋で数メートル離れて会話する2人の距離感が、なんとも切なかった。美羽は栞を「宏樹の子だと思っている」と言うが、さすがに無理があるし、その言葉は宏樹にとって一番つらいもの。どうしたって栞は宏樹の子ではないし、栞の本当の父親は別にいるのだから…。 美羽は宏樹がいつからか怖くなり、裏切ってしまった。許されることではないが、宏樹が精神的ストレスを1人で抱えていたように、美羽は美羽で弱音を吐ける場所がなかったのかもしれない。そこを考慮すればお互い様、と言えなくもないけれど。どうしても産みたくなったのは、栞がお腹の中で育つにつれ愛おしくなったからなのか、それとも冬月の子だったからなのか…。 宏樹と栞と生きていきたいと伝えつつも、美羽は本当の父親である冬月の存在だけは明かさなかった。隠すということはそれだけ大切な人であると解釈した宏樹は、薬指にはめていた結婚指輪を静かにはずす。「そいつと育てればよかったじゃんか」と、悲痛な叫びをあげる宏樹には思わず胸が締め付けられてしまう。