トランプ氏の投稿に備えるエコノミスト-新モデル開発など適応に躍起
このような水準に近い関税賦課があれば、物価は高止まりし続け、米金融当局の緩和サイクルが遅れる可能性がある。市場は既にこうした要素を急きょ織り込んでいる。
さらに、関税そのものよりも経済に大きな打撃を与えかねない二次的影響の問題もある。不確実性自体が経済活動の重しとなり、バークレイズのアナリストは、通商政策の不確実性が18年レベルまで高まった場合、成長率は米国で0.3%、中国で0.8%押し下げられる恐れがあると推計している。
モルガン・スタンレー・アジアのアジア担当チーフエコノミスト、チェタン・アーヤ氏は11月6日のリポートで当時の状況に関し、企業の景況感の悪化による設備投資や貿易の減速は「輸出に対する関税の直接的な影響よりもアジアの成長見通しを大幅に圧迫した」と指摘した。
UBSグループのアナリストは、「貿易相手国・地域の生産、インフレ、為替レートの共同均衡決定」を捉えようと、輸入代替や為替レート、企業が利益率で吸収する程度などの変数を含むグローバル関税モデルを5カ月かけて開発した。関税が経済にどのような影響を与えるかを捉える。
経済用語で言えば、トランプ氏は予測に多くの「構造的断絶」と「非線形性」をもたらす。多くのエコノミストは、シナリオ分析に目を向けている。これは多くの場合、大まかな確率を伴った結果の範囲を提示するものだ。
一方で、予測することと、その予測に基づいて顧客資金を投資することは別のことだ。香港を拠点とするトリアダ・キャピタルの創業者、モニカ・シャオ最高投資責任者(CIO)は基本シナリオとして、ターミナルレート(金利の最終到達点)は高くなるものの、財政赤字とインフレ率は市場が懸念するよりも抑制される可能性が高いと分析。関税賦課は対米貿易黒字が最も大きい国々が対象となるが、時間をかけて交渉で引き下げられていくとみている。
「トランプ氏は常に分析できる人物ではない。彼は気まぐれだ」とシャオ氏は話した。