トランプ氏の投稿に備えるエコノミスト-新モデル開発など適応に躍起
(ブルームバーグ): 野村ホールディングスのグローバル市場調査責任者、ロブ・スバラマン氏は、トランプ次期米政権に備えてトランプ氏のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」をダウンロードした。
「子供たちとトラブルになりそうだ」と、シンガポールで10年間現職にあるスバラマン氏は話す。「子供たちには夜、全てのデバイスの電源を切るように言っているが、私は電源を入れなければならない。トランプ氏が何をするのか、いつするのか、私には分からない」と語った。
予測を支える計算式やスプレッドシートを構築するために前例に頼るエコノミストにとって、その仕事はまたしても予測不可能なものになった。
トランプ政権1期目でこうしたアプローチは複雑化したが、トランプ氏が11月5日の大統領選で圧勝して以降、同氏が掲げる政策方針や人事は貿易や税制、移民、その他ありとあらゆる政策分野でのさらなる激変を示唆している。
アナリストは新しいモデルを開発し、多数の輸出入統計品目番号を精査するために専門家を増員し、神経質な顧客と向き合う時間を増やすなどして、適応しようと躍起になっている。最終的な目標はトレーダーや企業、政府が新しい混沌(こんとん)とした世界を乗り切るのに役立つ正確な予測を作成することだ。
「エコノミストはモデルを使い、モデルは安定した関係や仮定に依存しているが、今は仮定が何なのかよく分からない上、関係も安定していないかもしれない」と、スバラマン氏は述べた。同氏は大統領・議会選投開票日当夜には米国時間夜中まで世界中の250人もの顧客と電話会議を行った。
アナリストが特に注目しているのは、関税とそれが世界2大経済大国の米国と中国に与える影響だ。関税賦課は2025年下期(7-12月)に実施される公算が大きく、中国からの輸入品に対する関税率はトランプ氏が打ち出している60%よりは低いだろうとの点でアナリストの大多数は一致。さらに、その他の国・地域に対する一律関税の賦課も想定されるが、多くの免除措置が認められ、20%よりは低くなるのではないかとみられている。