北海道と交流、三重の偉人 1月19日まで展示 三重・松阪の武四郎記念館
三重県松阪市小野江町の松浦武四郎記念館はきょう29日から、アイヌの歴史や文化とアイヌの人々と関わった三重ゆかりの偉人たちを紹介する「本年度プンカラ協働展示『三重から北海道へ―アイヌ文化と出会った人々』」を開催している。来年1月19日まで。武四郎の文献や写本、生活工芸品など約40点を展示している。
国立アイヌ民族博と共催 鈴鹿市出身の大黒屋光太夫ら紹介
同展示は国立アイヌ民族博物館との共催。プンカラ協働展示は、アイヌ文化でつながる博物館等ネットワーク事業(愛称プンカラ)で、国立アイヌ民族博物館と北海道を中心とした国内73の会員機関が連携・協力してアイヌ文化を紹介する。昨年の東京を皮切りに、本年度は三重県内で行われる。県内では同記念館の他、石水博物館(津市)、大黒屋光太夫記念館(鈴鹿市)でも開いている。 会場には北海道の名付け親・松浦武四郎(1818~88年)が幕末期に6回にわたり北海道に渡り調査し書き記した日誌や文献を中心に、県出身の人物とアイヌ文化との関わりを紹介し、現代の作り手によるアイヌ工芸品を展示している。 江戸幕府の役人として数回にわたり北海道、国後、択捉を踏査した村上島之允(1760~1808年)が生活道具や儀礼などを絵と文で書いた「蝦夷島奇観(えぞしまきかん)」の写本の他、鈴鹿市白子の船頭でアリューシャン列島に漂流しロシアで10年間過ごしたのち根室でアイヌの暮らしに触れた大黒屋光太夫(1751~1828年)、武四郎の後援者で津市の豪商・川喜田石水(1822~79年)を紹介。その他、食べ物が盛られていたヨシで編んだ皿(ルサ)や、交易品のガラス玉などで作ったタマサイ(首飾り)、オヒョウの樹皮などの内皮から作ったアットゥシ織の衣服などの生活工芸品が展示されている。 山本命館長と、国立アイヌ民族博物館の宮地鼓研究主査は「本州ではまだアイヌ文化を知る機会が少ない。こうした協働展示を通じて関心を持っていただけたら」と来館を呼び掛けている。 入館料は一般360円、開館は午前9時~午後4時半。月曜休館。
トークやワークショップも
12月8日午前10時から同館で、国立アイヌ民族博物館室長補佐の北嶋由紀さんによるトークイベント 「アイヌの装い」が行われる。事前予約は不要。 同日午後2時から同3時まではワークショップ「自分だけのミニタマサイを作ろう」を実施する。事前申し込み制。詳細はhttps://logoform.jp/form/TY2e/795472まで。 1月12日午前10時からは、別海町郷土資料館の石渡一人学芸員と、国立アイヌ民族博物館の深澤美香研究員が「松浦武四郎と加賀伝蔵…伝蔵のアイヌ語通辞としての生涯」と題して話す。事前予約不要。 問い合わせは松浦武四郎記念館TEL0598(56)6847へ。