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『エール』美術セットにも要注目! 古山家、喫茶バンブー、コロンブスレコードのコンセプトを取材

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リアルサウンド

 現在放送中の連続テレビ小説『エール』。主人公・裕一(窪田正孝)とヒロイン・音(二階堂ふみ)との結婚を機に、舞台は福島から東京へ。時代も明治末期、大正から昭和へ移り変わり、家屋や小道具にもこの時代ならではのさまざまな趣向が凝らされている。 【写真】古山裕一・音の表札もしっかり作成  セットデザインを担当する日高一平チーフ・ディレクターのコメントをもとに、東京編の美術セットの見どころをチェックしていきたい。 ●古山家/コンセプトは“家族のつながり”  物語が東京編に入り、毎話必ずと言っていいほど登場するのが裕一と音の自宅。2人が上京し、何気なく入った喫茶店・バンブーの夫婦から紹介してもらった物件だ。何かと“裏”がありそうなだけに曰く付きの物件かと思いきや、ここまで大きなマイナス要素はなく、2人暮らしには十分過ぎるほどの広さの家であり、まさに「掘り出し物件」と言えるだろう。  裕一が作曲をするために部屋にこもりがちになること、音は仕事の邪魔になるため、覗きにはいけないことを踏まえ、部屋の間取りを考えた日高氏は語る。 「各部屋を中庭を中心に配置して、居間や寝室にいながら仕事部屋である書斎の方向を伺うことができるようにしました。また外から帰ってきた裕一が書斎に行くまでに、玄関→居間→寝室を経由する必要があるので、必然的に家族と顔を合わせることになります。家族がそれぞれお互いの存在を意識し、支えあえるような家をイメージしてデザインしました」  また、裕一のモデル・古関裕而さんの東京の住まいも参考にしているとのこと。 「間取りなどは違いますが、外壁や調度などは実際のお宅を取材させていただき、当時の資料を参考にアレンジしています。特に仕事場は福島の古関裕而記念館に再現されている書斎を参考に卓上や部屋の調度品、仕事時のスタイル(最終的には3つの机を行き来し同時並行で作曲作業をこなす等)などを表現していますので注目してほしいです」 ●喫茶バンブー/コンセプトはその名の通り”竹”  さまざま悩みを抱える裕一と音だが、2人の憩いの場所になっているのが自宅の目の前にある喫茶バンブー。マスター・保(野間口徹)と妻・恵(仲里依紗)が繰り広げる会話は、“バンブー劇場”と視聴者から話題となっている。新登場するキャラクター、再登場するキャラクターと出会う場所としても、ここまで重要な役割を果たしている。  バンブーのコンセプトはその名の通り“竹”と日高氏は語る。 「店名どおり内装やカウンターなどのインテリア、装飾に至るまで竹の素材にこだわり、ふんだんに取り入れました。ただ、この時代は、思っていたよりも街並みがカラフルであったことが取材や考証でわかりましたので、建物など和洋折衷を心がけ、バンブーも和風にならないよう注意しました。特に注目してもらいたいのがステンドグラスとカウンター上の竹の照明です。両方とも既存のもではなくバンブーのためにデザインして作っています。ほかにも店内には竹にまつわる小物や保、恵それぞれが集めてきたものが集積されています」  第9週では、裕一と鉄男(中村蒼)による「福島行進曲」レコード発売のパーティー会場にもなったバンブー。今後も裕一たちにとって大切な場所として度々登場するようだ。 ●コロンブスレコード/コンセプトは作曲家たちが集うサロン  そして、裕一の勤務先となるのがコロンブスレコード。裕一が木枯(野田洋次郎)と雑談を交わすロビー、廿日市(古田新太)の仕事場、収録室など、さまざまな趣向が凝らせている。  当時のレコード会社をモデルに東京の、しかも海外資本の会社ということを意識してデザ インしたと日高氏は語る。 「特に注目してほしいのは、作曲家たちが集うサロン。これまでの福島や豊橋とは趣を変え、床や壁面に大理石やタイルをふんだんに使ってゴージャスな空間を作りました。“コロンブス”の名前にちなんで帆船模型を飾ったり、コンパスと帆船をモチーフにデザインしたロゴマークを配置しています」  普通に観ているだけではない気づかない美術セットの端々だが、細部までこだわりを持って作れているからこそ、『エール』という物語、そしてこの時代に私たちは没入できるのだろう。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、『エール』は6月29日から一旦再放送に入る。ここまで作品を追ってきた方ならば、内容を頭に入れて観ることができるだけに、この機会に初回では気づかなかったさまざまな美術セットのこだわりにも注目してみてはいかがだろうか。 ※日高一平の「高」ははしごだかが正式表記。

石井達也

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