ANA、沖縄貨物ハブ見直し 貨物機は運休継続
全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは1月29日、那覇空港の貨物拠点「沖縄貨物ハブ」の事業を見直すと発表した。貨物機による那覇発着便の運休が続いていることから2021年度以降も運休を継続し、旅客機の床下貨物室による輸送(ベリー)へ移行する。 【ANA 767貨物機の機内】 沖縄貨物ハブは「沖縄国際物流ハブ」が正式名称で、ANAと沖縄県の共同事業として2009年10月から運用。ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)が、ボーイング767-300F/-300BCF貨物機を中心に那覇発着の貨物便を運航していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で昨年から全便運休が続き、2021年度以降も運休が決まった。 那覇発着の貨物機の運航がなくなることから、ANAは那覇に就航するグループ外も含めた航空各社の旅客便や、グループのLCCであるピーチ・アビエーション(APJ/MM)の運航便の貨物搭載スペースを使った輸送に変更。海外とのネットワークは、ANAの羽田-那覇線の旅客機などで首都圏へ運び、羽田と成田を発着する国際線に積み換えて運ぶ。 沖縄発の輸出貨物については、沖縄発羽田行きのANA便や首都圏から出発する国際線に搭載する際、優先的な搭載や保冷輸送を強化するという。沖縄発の貨物は農水産品が多く、保冷の必要がある積荷が多いため、保冷コンテナや外気温や湿度の影響を少なくするコンテナのカバー「サーマルブランケット」を活用し、経由する羽田や成田の保冷施設も利用する。 沖縄貨物ハブは、これまで黒字化が課題だった。ANAHDは来期の黒字化を目標としていることから、全便運休が続く那覇発着の貨物便の運航に区切りをつけたとみられる。一方、貨物事業そのものは、国際貨物で高単価貨物を取り込んで単価が前年比2.2倍に拡大するなど、堅調に推移している。
Tadayuki YOSHIKAWA