日本高校記録持つ順天堂大・吉岡大翔が箱根路に弾み…同じ苦悩知る「先輩」の助言に光が見えた
陸上男子5000メートルの日本高校記録を持つ順大・吉岡大翔(ひろと)(2年)が、長いトンネルを抜け出した。今月、自身にとって約1年7か月ぶり、大学では初となる自己ベストの更新を1万メートルで達成。2度目の箱根駅伝出走に向けて弾みとなる好走に導いたのは、同じ苦悩を知る元高校記録保持者、東洋大・石田洸介(4年)の助言だった。(西口大地) 【表】第101回大会出場校の一覧
11月9日に行われた日本体育大学記録会。吉岡は最も速い記録を狙う1万メートル最終組ではなく、その一つ前の6組に名を連ねた。「タイムも狙いたかったが、順位にこだわりたいところもあった」
スタートから勢いよく飛び出すと、後続の選手には目もくれず、集団の先頭を走り続けた。6000メートル付近でいったん元駒沢大の花尾恭輔(トヨタ自動車九州)に前を譲ったものの、8000メートルから再びトップを奪取。最後の1周は後方で力をためていた選手たちと激しい競り合いを演じながら、2着と0秒22差の28分26秒75でレースを勝ちきった。
このタイムは、大学1年の6月に1万メートル初レースで出した従来の自己記録を約20秒上回った。他の種目も含め、長野・佐久長聖高3年時の3月に走った3000メートル以来の自己記録更新で、「大学に来てから初めて『自己ベスト』を出せた。やっと一歩進めたかな」と、久々に味わう喜びをかみ締めた。
長野県出身で、中学時代から全国区の活躍を見せていた吉岡は、強豪・佐久長聖高への進学を機に成長のスピードを一層加速させた。
トラック種目では、5000メートルで1、2年と学年別の日本人最高記録を塗り替えると、3年時には13分22秒99の日本高校記録をマークした。全国高校駅伝には3年連続出走し、1年時の4区区間賞に続き、2年時にはエース区間の1区で2位。3年時は留学生が集う3区で、前年に京都・洛南の佐藤圭汰(現駒沢大)が樹立した日本選手歴代最高記録を更新して区間2位に入るなど、無類の強さを誇っていた。