クリスマスケーキ、物価高が直撃…イチゴは桃に・小ぶり商品充実化
物価高がクリスマスケーキ商戦に影を落としている。チョコレートの原料のカカオ豆など多くの原材料の価格上昇が影響し、ケーキは近年の値上がり傾向に歯止めがかからない。消費者の節約志向も広がっており、販売業者は割高感を抑えようと、材料の見直しで価格を抑えたり小ぶりな商品を充実させたりと知恵を絞る。(経済部 升田祥太朗)
「仕入れ先の業者から示されるチョコレートの価格を見るたびに、ぞっとする」
大阪市東住吉区の洋菓子店「菓子工房エリオス」を経営する縄本修嗣さん(54)はこぼす。今年初めに1キロ1500円だった仕入れ価格は8月に2000円に上昇、来年以降は3000円を超える見込みだからだ。
縄本さんは「コメなど生活必需品の価格が上がり、嗜好(しこう)品のケーキの消費は後回しにされがち」と感じている。クリスマス向けは、仕入れ価格の上昇を見込んで早めに在庫を確保するなどし、商品への価格転嫁を最小限に抑えようとしてきた。それでもチョコレートケーキは昨年より約1割値上げせざるを得なかった。
カカオ豆急騰
背景にあるのは、チョコレートの原料となるカカオ豆の価格急騰だ。
国際ココア機関によると、昨年4月に1トン当たり2000ポンド台で推移していたロンドン先物価格は、今年4月に一時9000ポンドを突破し、12月も7000ポンド台と高値が続いている。主要産地のガーナやコートジボワールが天候不順で不作となった影響が大きいという。カカオ豆を輸入する立花商店(大阪市)の生田渉取締役は、「農家の高齢化や環境規制の強化もあり生産環境が厳しくなっている」と指摘する。
ほかの原材料の価格高騰もあり、クリスマスケーキの値上げは広がっている。
調査会社の帝国データバンクが、コンビニエンスストアや百貨店など100社を対象に調査したところ、今年の平均価格(5号=直径15センチ)は前年比3・4%増の4561円だった。イチゴや砂糖、卵の価格(11月末時点)が前年同期より約1割上がった影響が大きい。