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介護施設でカルテ部屋に隔離 山口の元看護師、今も不安感消えず 2年前に提訴

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中国新聞デジタル

▽上司から渡された詩集と就業規則読むだけ

 山口市の介護施設に働いていた元看護師の女性(55)が小部屋に隔離されるパワーハラスメントを受け、いまも後遺症で不安な気持ちが消えないと訴えている。女性は施設を運営する法人に慰謝料などを求め、2年前に山口地裁に提訴。県内では田布施町も職員を1人だけの畳部屋に異動させて問題化しており、支援団体は「パワハラ防止の法律が整備されたことで埋もれていた被害がさらに表に出るかもしれない」と指摘している。  「しばらくは当時のことがフラッシュバックして眠れず、死にたいとの思いが消えなかった」と女性は声を震わせる。女性は2017年5月末、同市の介護施設で同僚女性をいじめたとして上司から勤務中にカルテを保管する部屋に終日いるよう命じられた。他の職員との接触も禁じられた。  部屋には机やいすがあるものの段ボールが雑然と積み上げられ、人の出入りはほぼない。女性は上司にいじめの事実はないと訴えたが「公休を勝手に変えた」「勤務場所を勝手に離れた」などと指導書を渡され聞き入れられなかった。部屋では上司から渡された詩集や就業規則を読む以外にやることがなく「看護師の仕事ができず悔しいやら悲しいやらでおかしくなりそうだった」と語る。  その後も上司から「なぜ認めない」「どうして指導書が出てると思っているのか」と責められた。隔離から9日たった同年6月上旬、朝から1時間半以上にわたり叱責され涙が止まらなくなった。「もう限界」と夫に連絡して迎えにきてもらい休職。精神科で適応障害と診断され、約7カ月後に法人から退職通知が届いた。  ストレスで持病の心臓病が悪化。今も法人の車を見かけると動悸が止まらない。  田布施町が職員を1人だけの畳み部屋に異動させた報道に自らを重ね「職員に非があるからとの言い分で1人だけの部屋に異動させた町の行動は決して許されるものではない」と話す。  法人は取材に「係争中なので答えられない」としている。  弁護士や労働組合で構成し、パワハラ相談を受け付ける県労安センター(山口市)の高根孝昭事務局長(71)も「隔離」を経験した一人だ。旧国鉄職員として現在のJR厚狭駅(山陽小野田市)などで勤務していた1980年代、民営化反対の労組の職場委員長を務めていたことで機関士の仕事を外され、4畳の部屋で1人勤務を強いられた。  国は6月、別室に隔離するなどの人間関係からの切り離しをパワハラと規定した女性活躍・ハラスメント規制法を施行。高根さんは「旧態依然の見せしめのようなパワハラが今も繰り返されていることに驚きと失望を禁じ得ない。法整備を機に行政は対策を急ぐべきだ」と話している。(原未緒、東聡海)  <女性活躍・ハラスメント規制法> 事業主や自治体にパワハラなどの防止の対策を義務化。パワハラの具体的な行為を初めて指針で例示する。暴力などの身体的な攻撃▽人格否定や長時間叱責する精神的な攻撃▽意に沿わない隔離や自宅研修の命令などの人間関係からの切り離し▽過酷な環境下での勤務などの過大な要求▽仕事を与えないなどの過小な要求▽性的指向や病歴などを勝手に職場で暴露する―の6類型に定義した。

中国新聞社

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