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オイシックス会員数は1年で約3万人に急増 コロナ禍の外出自粛が追い風に【企業深層研究】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【企業深層研究】オイシックス・ラ・大地(下)  オイシックス・ラ・大地の2020年4~6月期連結決算の売上高は前年同期比42%増の231億円、営業利益は同3・8倍の20億円、純利益は同4・4倍の11億円だった。  新型コロナウイルスの影響による外出自粛で家庭で料理する機会が増え、食材を宅配する「オイシックス」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」のいずれの事業も絶好調だった。感染拡大による学校の休校や在宅勤務に加え、緊急事態宣言が、さらに追い風となった。  業績を牽引したのはオイシックスの会員向け宅配サービス、ミールキット。全国の約4000の契約農家から集めた野菜と調理に必要な調味料のセットだ。ミールキット1袋で主菜と副菜の2品が20分程度で作れる。  価格は1000円(2人前)からの商品が多い。13年に発売し、累計出荷が5000万食を超える人気商品になっている。共働き世帯の時短ニーズや食品ロスを嫌う消費者の支持を得てきた。  オイシックスの会員数は25・2万人(6月末時点)。1年で約3万人増えた。出荷のキャパシティーを超えたこともあって、1カ月間、新規会員の申し込みを停止したほど。「1万人分の機会損失になった」と説明している。ARPU(1ユーザー当たりの月平均売り上げ)は1・3万円と3000円の純増。オイシックスの4~6月期の売り上げは同36%増の112億円と大きく伸びた。  大地を守る会は農薬なしで作った有機農産物販売の草分け的存在である。1軒ごとに野菜を届ける宅配を1985年から始めた。この流れの延長線上に登場したのがオイシックスだ。食材の宅配はカタログ販売が中心だったが、オイシックスはインターネットを活用し、新たな市場を開拓した。17年10月、オイシックスと大地を守る会は経営統合した。  18年2月、NTTドコモから有機野菜の宅配サービスを手がける、らでぃっしゅぼーやの全株式を譲り受けグループ化した。らでぃっしゅは二十日大根のこと。荒地でもよく育つ強い生命力を持った野菜である。  こうした経緯を経て、オイシックス、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやという、有機・特別栽培野菜の宅配ご三家が結集した。  大地を守る会、らでぃっしゅぼーやともに、4~6月期に会員数が約6000人増加した。大地を守る会の同期の売上高は前年同期比41%増の36億円、らでぃっしゅぼーやは同25%増の47億円と続伸した。  移動スーパーの子会社、とくし丸(徳島市)は全国で急速に台数を伸ばしている。12年2月、1号車の営業を開始し、100台に達するまでに4年かかった。その後は毎年100台のペースで増加。20年6月末時点の稼働車両台数は555台。この1年間で140台増えた。22年内にも全国1000台達成の目標を掲げる。  とくし丸の同期の流通総額は同57%増の37・9億円。地方都市の住民の高齢化に伴い、「買い物難民」とされる人々への需要は今後も拡大するとみられている。扱うのは400品目で、1200点。朝7時に出発し、17時ごろまで巡回販売する。  セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は今年4月、とくし丸と業務提携。ヨーカ堂は一部地域で大型トラックを使った訪問販売をやっているが、駐車場など広場に顧客を集めるスタイル。いわゆる「買い物難民」への対応は難しかった。  これで、提携しているスーパーはヨーカ堂など130社となった。移動スーパーというすき間ビジネスで全国展開しているのは、とくし丸だけだ。  オイシックス・ラ・大地の21年3月期の連結決算の売上高は前期比10%増の780億円、営業利益は同22%増の30億円、純利益は同52%増の12億円の見込み。4~6月期の実績から見て、上方修正の可能性が高い。  マンションの一室で起業した会社が20年間で従業員1600人を超え、東証1部に上場。  株式時価総額は1000億円の大台に乗った。  コロナ時代に大化けした余勢を駆って、さらに一歩前へと進む。 (有森隆/ジャーナリスト)

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