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天才トッド・ラングレンがソロ名義でリリースした名曲満載の『サムシング/エニシング?』

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OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。ロック界で天才と言えば、イギリスではスティーヴ・ウインウッドだが、アメリカにはトッド・ラングレンがいる。ふたりとも同じ1948年生まれなので、彼らが子供の頃に聴いた音楽の影響でその天才が開花したのかと思うと興味は尽きないが、この両者には似ている部分も多い。どちらも多くの楽器に精通しているマルチ・インストゥルメンタリストだし、曲作りやプロデュースをはじめ、新しいスタイルの音楽を生み出す才能もある。違いはと言えば、スティーヴはヴォーカルの巧みさが際立っていて、トッドはアレンジやプロデュース力に秀でていることだろう。スティーヴについては、トラフィックをすでに取り上げたので、今回はトッドがソロとしてリリースした名曲満載の『サムシング/エニシング?』を紹介する。 ※本稿は2016年に掲載

早すぎたパワーポップグループ

僕が中1だった1970年、ワーナーミュージックから『アトランティック・スーパーヒッツ』というアトランティックレコードのミュージシャンによるコンピが出ていた。このアルバムは、ロック、フォーク、ソウル、ポップスなどジャンルをまたいだ選曲がなされていて、その頃ハードロック一辺倒だった僕の一番お気に入りはもちろんレッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」であったが、ウィルソン・ピケットの「シュガー・シュガー」、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングの「オハイオ」、ブルース・イメージの「ライド・キャプテン・ライド」、タイロン・デイヴィスの「時を戻しておくれ」など名曲揃いで、気付いた時には愛聴盤となっていた。 不思議だったのは、ラスカルズの「シー」とナッズの「ハロー・イッツ・ミー」の2曲(どちらもポップス的な香りのする軽めの曲…だと当時は思っていた)に惹かれる自分がいたこと。この2曲はハードロックの対極に位置するスタイルだったから、自分の信条としては認められない気がしていたのだ。今から思えば「青い!」のひと言で片付けられるようなしょーもないことなのだが、当時の僕としては大ごとだった。特にナッズの「ハロー・イッツ・ミー」は大好きで、この曲がハードロック以外の音楽に目を向けさせてくれたことに今となっては大いに感謝している次第である。 ナッズはしたたかなグループで、表面的には軽いポップロックのようでいて、トゲがあるというか、70年代の半ばにパンクと並んで注目されたニューウェイブやパワーポップのようなテイストさえ持っていた。おそらくナッズは“ロックスピリットを持ったポップス”がやりたかったのだと思う。この感性が一般大衆に浸透するのはパンクを経験してからのことだけに、彼らが同時代のミュージシャンと比べて、より早く、新しいロックサウンドを生み出していたかが分かるのだ。