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ユニクロが世界を暖める、市場を席巻するヒートテック

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The Guardian

【記者:Morwenna Ferrier】  毎週のように発表されるファストファッションブランドとデザイナーとのコラボレーション。日本の小売り大手ユニクロ(Uniqlo)は今月、中国系米国人デザイナー、アレキサンダー・ワン(Alexander Wang)とコラボレーションしたヒートテックの販売を開始した。ユニクロでは、デザイナーとのコラボレーションは普通のことで、発売初日も店内の様子はいつもと変わりなく、争いも、整理番号の配布も、厳しいルールもなく、好きなだけ店にいることができ、何点買っても問題なかった。  英ロンドンのオックスフォード・ストリート(Oxford Street)にあるユニクロの店内は、かなり多くの人が下着売り場に群がっていた。「いつもどおり」と、店員のテリーさんはニットを整然と並べながら説明する。「寒くなった途端、飛ぶように売れていく」  日本は極寒の地として知られているわけではないが、消費者はヒートテックの保温性に一目置いている。公表されてはいないが、ヒートテックの販売数は少なくとも年間1000万着以上と考えられている。アレキサンダー・ワンとのコラボレーションがあってもなくても、冬が来れば、ユニクロは世界中を暖め続ける。  ヒートテックは、もはやカルト的人気を誇っている。多くのファストファッションブランドの売り上げが減速する中、ユニクロの売上高は年8.4%増となっており、売り上げの大部分をヒートテックが占めている。ここ数年のデザイナーとのコラボレーションをけん引してきたのは、ユニクロのR&D統括責任者の勝田幸宏(Yukihiro Katsuta)氏だ。暖かい格好しようとすると生地が厚い服を選びがちだが、ユニクロは正反対のことをした、と同氏は説明する。ファッション性が全てと考えているわけではないが、デザイン性と機能性を両立させることはできる。最近では多色展開したり、襟元のデザインを変えたりしているが、ヒートテック自体の人気で売れていると、勝田氏は付け加えた。  ユニクロは、日本有数の資産家、柳井正(Tadashi Yanai)氏が社長を務めるファーストリテイリング(Fast Retailing)傘下で、1980年代半ば頃から現在の形態となった。1984年、広島にユニーク・クロージング・ウェアハウス(Unique Clothing Warehouse)の1号店が設置され、現在では世界中に2000を超える店舗を展開している。最新店舗は、厳しい冬の寒さで知られるスウェーデンにオープンした。日本では、「ユニクロを着ているのがバレると、ダサい」という意味の「ユニバレ」という言葉ができるほど、日常的なブランドとなっている。  デザイナーとのコラボレーションは、主要な収入源となっている。(デザイナーがユニクロを自分にふさわしいと選んでいるというよりは)ユニクロが自分たちの目にかなったデザイナーを選んでいると言え、これまでに、ジル・サンダー(Jil Sander)やトーマス・マイヤー(Tomas Maier)などとコラボレーションしている。ユニクロは、デザイナーのミニマルなデザインを、大衆向けに解釈し直し、大量に販売する。  ユニクロによる市場の席巻の第1波は、ヒートテックの販売を開始した15年前に始まった。当時、防寒ウエアを取り扱うファストファッションは皆無だった──少なくとも見せたくなるような防寒ウエアはなかった。そこに突然、重ね着して見せてもいいような防寒ウエアが登場したのだった。  第2波は、2009年のウルトラライトダウンの販売で始まった。またしても薄手の防寒ウエアで、こぶし大にまで折り畳めるという、不可能と思われることを実現したデザインだった。ファッションが徐々にストリートウエアや反ファストファッションに向かったことも、流行を追わず「毎年着られるようにデザインしている」と勝田氏が説明するウルトラライトダウンに追い風となった。  最近は、近藤麻理恵(Marie Kondo)氏が提唱するように、ものにあふれた生活に疑問を呈し、シンプルな生活を送るという考えが人気を集めているが、このことも極めて重要な意味を持っている。  勝田氏は米ニューヨークでの販売イベント時に、日本のすべてのものに世界が関心を持っていることが興味深いと話した。普通のことをしたがらない、もしくは、物事をシンプルに、流行を追わず、一つのデザインで相反する二つのことをやり遂げるように不可能だと思われることやるからかもしれないと、勝田氏は分析する。  アレキサンダー・ワンとコラボレーションしたヒートテックはリブ織で、色は黒が多いが蛍光カラーのものもあり、家でくつろぐだけではなく、夜遊びに着て行っても違和感がないようなデザインになっている。全12種類の中には、見せるためにデザインされているものもある。自分は誰にも下着は見せないが、と勝田氏は言った。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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