エルサはまるでX-MEN!? 『アナと雪の女王』を“スーパーヒーローもの”として読み解く
エルサにはマーベルヒーローの視点が組み込まれている?
氷結パワーではないですが、マーベルの『ファンタスティック・フォー』というヒーロー・チームには、透明バリアの使い手のスーという女性がいて、彼女がこの力を使うときがまさにエルサっぽいのです。なお『ファンタスティック・フォー』は、『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス(原題)』というタイトルで2025年に実写映画版が公開され、スー役をヴァネッサ・カービーが演じます。 ここから筆者の私見ですが(要はディズニーさんなどの公式の話ではなく、僕が勝手に思ったことです)、エルサがアメコミヒーローっぽいのは、この時期のディズニーとアメコミの関係に影響があるのかもしれません。『アナ雪』は2014年の映画ですが、この2年前、ディズニーはマーベルの『アベンジャーズ』を公開しています。ディズニーはマーベルを買収し、その傘下での最初の大型映画でした。マーベルのアメコミものは、“スーパーパワーを持っている超人の武勇伝”というより、“スーパーパワーを持っている普通の人間のドラマ”みたいなアプローチをしています。こうしたマーベル的な視点が、少なからず他の作品づくりにも影響を与えていたのではないでしょうか。ちなみに、ディズニーはマーベルを原作としたアニメ映画も作っています。それが『ベイマックス』です。 なお、エルサは氷結以外にもすごいパワーを2つ持っています。1つはオラフやマシュマロウ、スノーギースのような“命”を作り出すことできること。2つめは、なんといってもあの歌声でしょう。彼女のすごさは氷の力で人々を“震えさせる”ことではなく、歌で人々の心を“震わせる”ことでした。エルサのスーパーパワーに酔いしれながら『アナ雪』をまた楽しみたいと思います。
杉山すぴ豊