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妄想力旺盛な人ほどプレイすべし! 16年の時を経て蘇える『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』はやっぱり神ゲーだった

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穏やかな学園生活の裏に隠された《秘宝》の謎。強大な権力を持つ「生徒会」の暗躍。そして墓地の地下に広がる巨大な超古代遺跡の探索――。独特の世界観や濃い登場キャラクターで多くのファンの心をとらえたプレイステーション2用ソフト『九龍妖魔學園紀』が発売されてから約16年。ADV+探索&バトルの名作である本作が、2020年6月4日にNintendo Switch用ソフト『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』としてリメイクされた。メインシナリオパートのフルボイス化や、遺跡探索パートの16:9ワイドスクリーン対応、3種類の難易度設定、背景やアイテムといったグラフィックの再構築など、過去作から強化された内容は多岐にわたる。ここでは、発売から16年経っても色褪せずにプレイヤーの「妄想力」を刺激して止まない『九龍妖魔學園紀』の魅力を中心に語っていきたい。 【写真】『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』プレイ画面 文 / 福西輝明 ◆オリジナルの良さを生かした“程よいリメイク” 2004年に発売された『九龍妖魔學園紀』は、『東京魔人學園伝奇』シリーズや、その後に登場する『魔都紅色幽撃隊』と共通の世界観を持つ「学園ジュヴナイル伝奇」シリーズのひとつとして制作された。舞台や登場人物はごとに異なるが、「異能を秘めた若者たちが、平穏な学園生活を送る一方で、人ならぬ者との戦いに挑んでいく」という基本内容は共通している。ちなみに「学園ジュヴナイル」を平たくいうと、「学園を舞台に、若者たちが悩みや問題に立ち向かっていくドラマ」である。そこに「伝奇」が加わると、異能力や魔物といった非現実的要素がプラスされた作品ということになる。 『九龍妖魔學園紀』では若き《宝探し屋(トレジャーハンター)》である主人公が、神秘の力を秘めた《秘宝》を求めて、天香(かみよし)學園の地下に眠る超古代遺跡の探索に挑むことになる。とはいえ、主人公の表向きは平凡な学生という身分であるため、日のあるうちは基本的に學園内で過ごすことになる。そこで知り合った人々と交流を深めていくうちに、じつは彼らは「身内を失った悲しみで闇に堕ち、さらには制御できない異能を宿してしまった」などの問題を抱えていることが明らかになっていく。そんな生徒たちとの触れ合いのなか、主人公は大らかな優しさで、そして時には力業で闇に囚われた心を解放し、信頼を結んでいく。1話完結型の構成で物語が進行する(ご丁寧に毎回OP&EDテーマも流れる)ため、まるでドラマやアニメのシリーズを視聴しているような感覚で物語を味わえるのが特徴だ。 リメイクのポイントについてだが、まずオリジナルから大きく変わったのはフルボイス仕様になったところ。旧作では戦闘中などの一部でしかキャラクターの声を聞くことができなかった。だが、本作ではADVパートはフルボイスとなっており(ただし、自由行動時の会話はボイスなし)、旧作からの違いを如実に感じられる。今どきのADVがフルボイスなのは当たり前かもしれない。しかし、実力派声優陣の芝居には、物語にさらなる深みを与える力がある。たとえば「いいぜ」というセリフひとつにしても、「軽い気持ちのOK」や「本当は嫌だが従う」「覚悟を決めた強い意志」など、演じ方によってまったく意味が違ってくる。特に本作は、フラフラで真っ青なのに「大丈夫」といってしまうなど、自分の思いを素直に伝えてくれない登場人物が多すぎる。そうした微妙な心情のニュアンスが、芝居から伝わるようになったのは大きな変化といえる。 また、グラフィックもHDリマスターされている。実写画像を使用した背景や膨大な数のアイテム類はすべてリファインされており、ダンジョン内の描写もフルスクリーン対応に合わせて一から作り直されているという。細部に至るまでこだわり抜いて制作している一方で、キャラクターのデザインは従来のままだ。最近は“フルリメイク”にこだわるあまり、全面を改修しすぎて旧作の良さをスポイルしてしまう作品も見られるように思う。しかし本作の場合は、ぱっと見は少々クセが強く感じるものの、噛めば噛むほど味が出てくる絵柄をあえて残している。流行りの絵にはない、パンチのある個性的なグラフィックは本作に欠かせない重要な要素のひとつなのだ。 フルリメイク作品は旧作を今の時代に合わせて全面的に改修し、別物にまで進化させることをコンセプトとしている。だが、本作のコンセプトは「旧作の良さをしっかりと残しながらも、手の入れられるところはきっちり作り直す」ことだと感じた。「故きを温ねて新しきを知る」という言葉通り、かつて根強いファンを多数生み出した『九龍妖魔學園紀』の“味”は、今のゲームファンにも伝わるはずだ。 ◆プレイヤーの妄想力を刺激するADVパート 本作は超自然的な力を秘めた《秘宝》にまつわる物語を描く「ADVパート」と、迷路のように入り組んだ地下遺跡内を3DダンジョンRPG形式で探索する「探索パート」に分かれている。 ADVパートでは天香學園で生徒たちと交流をはかりながら、學園で巻き起こるさまざまな事件に首を突っ込んでいくことになる。ここで出会った人々との会話で好感度を上げるなどの条件を満たすと「バディ」になり、探索パートで地下遺跡に同行してもらえるようになる。従来のADVと異なるのが、本作独自の「感情入力システム」。プレイヤーは相手の言葉に対して「愛:愛の感情」「喜:喜びの感情」「燃:熱い感情」「友:同意や友好的な感情」「悲:悲しい感情」「憂:気乗りしない感情」「寒:寒々としたり、冷えた感情」「怒:怒りの感情」「無視:黙り込んだり、答えられない感情」という9つの感情から自分の反応を選ぶことになる。 主人公が示すのは感情表現だけで、セリフが表示されないのには理由がある。それは「プレイヤーに自分だけの主人公像を構築させ、キャラクターとのドラマを思い描かせるため」だ。本作の主人公に設定されているのは「若く才能あふれる《宝探し屋》」という要素だけで、それ以外のキャラクター像はプレイヤー自身が決めることになる。ゲーム開始時に名前や生年月日、身長や体重といった各種パラメータのほか、得意学科まで細かく設定する。たとえるなら、テーブルトークRPGでキャラクターシートを作成するような感覚で、妄想力を働かせながら主人公像を構築する作業はじつに楽しい。 そうして出来上がった主人公像は千差万別で、ひとりとして同じ主人公は存在しないし、主人公が発するセリフもプレイヤーによって異なる。それなのにゲーム中でセリフがあらかじめ用意してあると、「うちの主人公はそんなこといわない」と感じるはず。その点、本作では「感情入力システム」で主人公の感情を選択するだけに留めているので、プレイヤーは独自にセリフを考え、自由に物語を補完しながらプレイできるのである。もちろん必ずしもそうしなければならないわけではなく、面倒なら攻略サイトでも見ながら正解の選択肢を選んでいくのもアリだろう。だが、筆者はその都度セリフ考え、脳内でドラマを展開させながらプレイするのをお勧めしたい。そんな「妄想力を刺激する自由度の幅」が、かつて旧作が発売された際に無数の二次創作を生み出すことにつながったのではないかと思う。 ◆数々の罠や仕掛けをかいくぐる探索パート 探索パートでは墓地の地下に広がる巨大な地下遺跡内を探索することになる。3DダンジョンRPG形式で奥深くをめざしていくが、これが一筋縄ではいかない。何らかの仕掛けと連動している扉は謎を解かないと開かないし、トゲが無数についた釣り天井や転がる巨石といった凶悪なトラップも無数に用意されている。さらには、「化人(けひと)」と呼ばれる侵入者を排除するための番人も待ち受けており、気を抜いていると遺跡内に屍をさらすことになるだろう。しかし、主人公は数々の修羅場を潜り抜けた《宝探し屋》。知恵と機転を働かせて障害を乗り越えていく様は映画『インディ・ジョーンズ』シリーズを思い起こさせる。 謎解き自体はそう難しいものではない。道中で見つけたヒントをもとに、遺跡や學園内で見つけたアイテムを組み合わせることで突破できる。たとえば扉を封じる黄金の鎖を、「塩酸」と「硝酸」を調合して作った「王水」で溶かすなど、意外なものが意外な場所で役立つこともある。ちょっとしたひらめきが遺跡攻略につながるところは、なんとも「探検感」を刺激させられる。 化人との戦闘はターン制となっており、主人公は自分のAP(行動力)がなくなるまで移動や攻撃ができる。銃器で敵の弱点を狙ったり、敵の側面・背面に回り込めばダメージにボーナスが付くなど、戦術を駆使して戦うことが要求される。複数の敵相手に何も考えずに突っ込むと袋叩きにされるが、敵の側面に回り込んで1体目を撃破した後、すぐさま振り向いて接近中の敵に銃撃を叩きこむといったように、やりようによっては一度も攻撃を受けずに殲滅することだってできる。また、學園内で手に入れたアイテムが意外な形で役立つことも多々ある。中国酒とマグネシウムを調合して火炎瓶を作ったり、その辺で拾った大腿骨を石で削って投げナイフを作るなど、その場にあるものを武器化して戦うところは、マンガ『MASTERキートン』を思い起こさせる。主人公が群がる敵をヒラリヒラリとかわしながら、手製の武器でなぎ倒していく。本作のバトルパートをプレイしていると、そんな妄想をかき立てられずにはいられない。 ◆これでもかと盛り込まれた“遊び”の要素 基本は上記のADVパートと探索パートで構成されているが、ほかにもやるべきことはいろいろとある。世界最大のトレジャーハンターズギルドである《ロゼッタ協会》経由で舞い込む依頼をこなすことで報酬を手に入れたり、手に入れた材料をもとに体力回復やパラメータ上昇などの効果のある料理をこしらえたり。さらに、自室で遊べるADV『ロックフォード・アドベンチャー』に興じてみたりと、本作は意外なほど「遊べる要素」が豊富に用意されている。もちろん、これらはあくまでもおまけ要素なのだが、ひとつひとつが奥深くてやりごたえがある。昨今のゲームはとかく「やりこみ要素」が多すぎて、途中でしんどくなってしまうものが多いが、本作の場合は程よいボリュームで楽しめた。とくに『ロックフォード・アドベンチャー』は物語自体の出来が非常によく、思わずのめりこんでしまったほどだ。 あらゆる部分で妄想力をフル稼働させながら《宝探し屋》の活躍を堪能できる『九龍妖魔學園紀』は、いい意味で前時代的な作品だと感じた。旧作の発売当初も本作は好評を博していたが、正直いうと筆者には絵のクセが強く感じ、敬遠してしまっていた。しかし、こうしてあらためてゲームに触れたところ、絵柄のクセにはすぐに慣れ、「唯一無二の個性」だととらえられるようになった。パッと見の印象でこんな名作を敬遠していた自分は、なんと浅はかだったことか。どこかで「クセの強い絵柄なのに、人気がある作品は名作」という言葉を聞いたが、『九龍妖魔學園紀』はまさにその至言にふさわしい作品だといえる。妄想力に自信のあるゲームファンは、ぜひ一度本作に触れて見てほしい。 (c)ATLUS (c)SEGA (c) ARC SYSTEM WORKS/TOYBOX Inc.“九龍妖魔學園紀”はATLUSの登録商標です。 妄想力旺盛な人ほどプレイすべし! 16年の時を経て蘇える『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』はやっぱり神ゲーだったは、WHAT's IN? tokyoへ。

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