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「高校野球を特別扱い」の主語は誰?何を批判しているのかがわからない。

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 高校野球は特別か否か――。新型コロナが流行してからというもの、高校野球開催の是非を巡り、この問いを何度見聞きしたことだろう。 【秘蔵写真】名選手40人のヤンチャそうな高校球児時代。森友哉や吉田輝星に清原、藤浪からHRをぶち込んでニコニコの大谷、かわいい松坂、由伸にヘンテコ帽子の井口…。  そして、いつも困惑した。 「特別」を辞書通り「普通一般とちがうこと」(広辞苑)と解釈するなら、聞くまでもない。特別だ。主観ではなく、事実が物語っている。集客力や大会規模を見れば明らかだが、学生スポーツでこれだけお金と人が動く大会は世界でも稀だろう。  つまり、何を問いたいのかがわからないのだ。  さらに困惑したのは「高校野球を特別扱いするのか」という類のものだ。主語が抜けている。批判どころか、日本語にすらなっていない。

それぞれの組織が自分で判断するのが公平。

 たとえば、高校野球も高体連に属していて、高体連が高校野球以外は夏の大会は中止にし、高校野球のみ開催すると判断を下したとしよう。その場合、高体連に対し「高体連は高校野球を特別扱いするのか」と抗議するのなら理解できる。  しかし、実際は、高校野球を統括する高野連は独立していて、自分たちで大会を開催するか否かを決める権利がある。彼らは、そもそも誰かに「扱われる」立場にはない。  ついでに言えば、彼らが独立した組織であるのも誰かから「特別扱い」されたからではない。一言でいえば、歴史ゆえのことだ。高校のあらゆる競技が高体連に所属しなければいけないという義務があるわけではないので、当然のことながら、その自由は尊重されるべきだ。  公平ではないという批判も目にした。だが、それぞれの組織が自分たちで判断できることが公平な世の中なのであって、他の大会も中止なのだからこちらも中止にすべきという論法は、一種の圧力であり、その方がアンフェアなのではないかと思う。

誰が、何に腹を立て、何を批判したのか。

 やや話は逸れるが、NHKが全試合を全国放送し、新聞や雑誌も誌面を大きく割くことを「メディアが高校野球を特別扱いしている」と捉える人もたくさんいるようだ。  メディアを買い被らない方がいい。メディアは何かを何十年にもわたって「特別扱い」するほど親切ではないし、余裕もない。もっとしたたかだ。世の中の関心が高いから取り上げるのだ。身も蓋もない言い方をすれば、需要があるから放送するし、記事を書くのだ。  いったい誰が、何に腹を立て、批判しているのか。それがまったく見えなかった。まるで、存在しない悪者を作り出そうとしているようにも映った。  事実を歪め、的外れな批判を繰り返す行為を「ストローマン論法」と呼ぶ。ストローマンとは藁人形や案山子という意味だ。つまり、実体のない、架空の敵だ。根拠のない批判は、された側も受け止めようがない。ゆえにエスカレートしやすく、そして、憎しみを増幅させる。  高校野球開催の是非を巡り、「高校野球は特別なのか」と中止を迫る論法は、まさにストローマン論法ではなかったか。

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