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被災しても「必ず復活」 人吉温泉発祥の旅館「翠嵐楼」 常連客の支援、「恩に報いたい」

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熊本日日新聞

 人吉温泉発祥とされる湯船がある熊本県人吉市温泉町の温泉旅館「翠嵐楼」は、熊本豪雨で1階天井付近まで浸水する大きな被害を受けた。4代目社長の川野精一さん(56)は「必ず復活させる」と、従業員らとともに復旧に向け、一歩ずつ歩みを進めている。  九州有数の温泉地として知られる人吉温泉の始まりは、川野さんの曽祖父、廉[きよし]さんが初めて温泉を掘削し、同旅館を創業した1910年とされる。  川野さんが異変に気付いたのは、7月4日午前0時ごろ。排水口から水が逆流し、あふれ出した。「大雨で湯船が漬かることは度々あったが、今までとは比べものにならない勢いだった」と振り返る。  午前8時ごろには、旅館1階も浸水が始まり、急いで宿泊客と従業員を2階に避難させた。水位はみるみる上昇し、1階天井付近まで達した。露天風呂の小屋や社員寮も被害を受け、被害総額は3~4億円に上るという。  その中で大きな被害に遭ったのは、開業当時に御影石で造られた源泉の湯船。地下約5メートルの浴室に当時のまま残っており、旅館の名物として宿泊客に親しまれていた。4日の球磨川氾濫で地下の浴室は天井まで水没。特に男湯は天井のパネルが剥がれ落ち、湯船は泥に埋まり手付かずのままだ。

 それでも、川野さんは「再建できる」と力強く語る。これまでにも5回ほど浸水被害に遭い、乗り越えてきた。川野さんが小学生の頃にも1階屋根上まで浸水したことがあり、従業員や家族総出で泥かきなどをして半年後に営業を再開できた経験があるからだ。  常連客らも多数ボランティアに来てくれる。励ましの電話も毎日のように寄せられている。「人の恩がどれだけありがたいか。この恩に報いるためにも自慢の温泉を復活させたい」と話す。(長濱星悟)

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