にぎわい創出の新拠点、富山県の上市町中心部にオープン 空き家改修、交流人口拡大目指す
富山県の上市町中心部の古い商店が並ぶ通りに、サテライトオフィスやゲストハウス、住民が気軽に利用できるスペースなどで構成する複合施設「metate(めたて)」(同町熊野町)がオープンした。行政支援などに取り組む東京のIT関連企業「ハテナブック」(本間隼人社長)が手がけた。11日、現地で開所式があり、町関係者や住民らが関係人口の創出を目指す新たな拠点の完成を祝った。 めたては、富山地方鉄道の上市駅から徒歩約5分の所にある空き家で、1949年に建てられた木造2階建ての店舗兼住宅をリノベーションした。施設名は、この店舗が「目立(めた)て」と呼ばれる刃物を研ぐ仕事を営んでいたことにちなむ。 1階にハテナブックのサテライトオフィスとコワーキングスペース、地域のイベントなどで住民が利用できるマルチスペースを設けた。明治時代の土蔵はシャワー室に改修した。2階は最大12人が宿泊できるゲストハウスで、4人部屋やシャワー付きの個室もある。
食事を提供しない簡易宿泊所として運営。客には町内の飲食店を利用してもらい、上市の魅力をより深く体験できるようにする。 本間社長は2021年にオンラインの町の移住体感ツアーに参加したことを機に県内に移り住み、昨年3月から事業計画を練ってきた。今年4月からは、都市部の企業の社員などが地域課題解決に取り組む国の制度「地域活性化起業人」を使い、町役場で移住定住や情報発信の業務を支援している。 開所式は中川行孝町長や堀田喜久男町議会議長、住民らが出席し、本間社長らがのこぎりを使ってテープカットした。本間社長は「都会で鈍った五感を研ぐような施設にしたい。宿を出発点にした体験を通じて、上市にまた来たい、住んでみたい、と思う人を増やしていきたい」と語った。