“暗殺未遂”のスロバキア首相、プーチン氏との関係は? 「権威主義」で社会が不安定に…71歳男の動機は【#みんなのギモン】
■親ロシア、プーチン寄りのリーダー
小野解説委員 「スロバキアはヨーロッパの真ん中に位置し、面積は日本の7分の1ほど。人口は約540万人。昔はチェコスロバキアと言われていましたが、1993年にチェコとスロバキアに分かれました」 「ウクライナと国境を接し、民族的にはロシアと同じスラブ系の人が多く、ロシアにシンパシーを持っている親ロシアの住民も多いといいます」 「銃撃されたフィツォ首相は 59 歳。親ロシア、プーチン寄りのリーダーとして知られていました」 「スロバキアは EU(ヨーロッパ連合)と NATO のメンバーではありますが、ロシアによるウクライナ侵攻後には『ウクライナのナチスとファシストがプーチンを挑発して侵攻を開始させた』という発言をしていました」 「ウクライナの政権について『ナチス』と、プーチン大統領が使っていたのと同じ言葉を使い、プーチン政権に同情的な姿勢を見せていました。首相になる前に行われていたウクライナへの軍事支援も、首相になると去年、停止することを表明してしまいました」 「また、政府と対立する公共放送を『偏っている』として国営放送にしようとしています。スロバキアは汚職が多いそうですが、なぜか汚職に対する罰則の軽減を目指す司法制度改革を推し進めようとして物議をかもしています」 「とにかくやりたいことを強引に進めている印象で、政治手法が強権的、自分に権力を集中させようとしている、と見られています」
■「行き過ぎ」「自由阻まれる」世論も
鈴江アナウンサー 「フィツォ首相はウクライナ侵攻があった後に就任しているということで、国民の中でもウクライナへの軍事支援停止を支持している人も多いという背景も、もちろんあるということですか?」 小野解説委員 「そうですね。今回の容疑者の動機ですが、政治姿勢に関係があるのではという見方があります。慶応義塾大学の廣瀬陽子教授に聞きました」 「廣瀬教授によると、フィツォ首相は公共テレビ局をより厳しく政府の管理下に置こうとするなど、首相が強い権力を持つ『権威主義』に突き進んでいます」 「4月には首相に近い大統領も選出され、歯止めが効かなくなるという懸念から、国内では『行き過ぎだ』『自由が阻まれる』といった世論もあり、社会が不安定に。そうした中で起きた暗殺未遂事件なのではないか、ということです」