奨学金の返還が難しい社会人の救済措置。減額や猶予の要件とは?
収入が少ない、失業した、病気で働けなくなったなど経済的に厳しい状況にあるとき、毎月の奨学金の返還が難しいと感じる人もいるでしょう。場合によっては、返還を待ってもらったり1回あたりの返還額を減らしたりできるかもしれません。 この記事では、日本学生支援機構の奨学金で、そうした救済措置を受けるための要件と手続き方法について解説します。
奨学金の返還が難しいときにできること
日本学生支援機構の奨学金では、返還が難しくなった人への救済措置として、以下のような制度が用意されています。 ●減額返還……月々の返還額を少なくする(最長15年、月々の返還額を本来の2分の1または3分の1にし、返還期間を延長する) ●返還期限猶予……返還の期限を延期する(最長10年) ●返還免除……返還の義務がなくなる ただ、どの制度も誰でも利用できるわけではなく「収入等の条件を満たすこと」と「手続きを済ませること」が必要です。
救済措置を利用できるのはどんな人?
制度ごとに、対象になる人が違います。最も対象者が多く日本学生支援機構も推奨しているのが「減額返還」、利用のハードルが高いものが「返還免除」です。それぞれの対象になる収入の目安は以下のとおりです。 ■「減額」を利用できる条件 ●給与所得者(会社員など)……年間収入金額325万円以下 ●給与所得以外の所得がある人……年間所得金額225万円以下 収入が給与だけの場合は「収入」が基準になりますが、個人事業主など給与以外で収入を得ている人は、収入から経費などを差し引いた「所得」で判定されますので要注意です。 基本は上述のとおりですが、もし扶養している家族がいる場合は「1人につき38万円」を収入や所得から差し引き、その金額が上記条件に合えば申請できます。子どもが多い人や両親を養っている人などはより利用しやすいでしょう。 ■「猶予」を利用できる条件 ●給与所得者(会社員など)……年間収入金額300万円以下 ●給与所得以外の所得がある人……年間所得金額200万円以下 減額よりわずかに基準額が低く設定されています。「収入」で判断する場合と「所得」で判断する場合がある点、扶養している家族がいると利用しやすくなる点は減額と同じです。 (出典:日本学生支援機構「困ったらまず相談 JASSOの制度 減額返還・返還期限猶予」、「経済困難事由 収入等の基準」) ■「免除」を利用できる条件 ●本人が亡くなった ●精神もしくは体の障害で働けなくなった 免除の基準は、具体的な数字ではなく「労働能力を喪失」もしくは「労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなった」ときとされています。 死亡の場合は迷う余地がありませんが、障害はその度合いなどによって個別に判断されるため、まずは日本学生支援機構に連絡して免除の対象になりそうか確認する必要があります。 (出典:日本学生支援機構「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」)