選挙後も米ドル安トレンド変わらず「101円割れ」はあるか?
米大統領選挙は、ある程度予想されていたように、勝敗の決着がつかない状況が続きました。そういったなか、先週の米ドル/円は、3月のいわゆる「コロナ・ショック」における乱高下の後からサポートされてきた104円を大きく割り込んでいます。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、アノマリー通りなら「3月の『コロナ・ショック』で記録した101円の米ドル安値更新に向かう可能性がある」と述べています。今回は、過去の選挙後相場から、米大統領選後の「米ドル/円」トレンドを予想していきます。
「11/9~11/15のFX投資戦略」のポイント
[ポイント] ・米大統領選挙の勝敗が未決着の段階で、先週米ドル/円はサポートされてきた104円を割り込んできた。「大統領選挙アノマリー」からすると、これは年初来の米ドル安値101円割れを目指す可能性あり。 ・ただ、先週は株高・米ドル安。これは「コロナ後」半年以上も続いた相場。そんな株高で米ドル/円が一段と下落するかは懐疑的な面も。米ドル/円一段安には株安への転換で円買い拡大が必要!?
104円を大きく割り込んだ、先週の米ドル
先週、米大統領選挙が行われましたが、ある程度予想されていたように、なかなか勝敗の決着がつかない状況が続きました。そういったなかでも、米ドル/円は、3月のいわゆる「コロナ・ショック」における乱高下の後からサポートされてきた104円を大きく割り込んできました。90日MA(移動平均線)との関係で見ると、2%以上下回ってきたことになります(図表1参照)。 ところで、前回、2016年の米大統領選挙では、選挙後に米ドル/円が、今回とは方向は逆ですが、90日MAを2%以上も上回ると、その後は基本的に2%を下回ることなく一段高に向かいました(図表2参照)。 そして、それは前々回、2012年の大統領選挙後にもおおむね該当したプライス・パターンだったのです(図表3参照)。 米大統領選挙年の米ドル/円は、選挙前まで小動きが続くものの、選挙後からとたんに一方向への大相場に「豹変」する、プライス・パターンが繰り返されてきました。 一つの目安として、小動きが続くなかで、過去3ヵ月の平均値である90日MAからのかい離率が±2%中心の小幅レンジでの推移が続き、選挙前後、それを抜けた方向に大相場が展開していました。そして、前回、前々回の米大統領選挙年の米ドル/円も、まったくそんなプライス・パターンだったわけです。 このようなプライス・パターンが繰り返されてきたことを論理的に説明するのは困難です。むしろ「論理的には説明困難ながら、結果として繰り返されてきたパターン」を「アノマリー」と呼ぶため、これは米大統領選挙年の米ドル/円アノマリーと呼ぶべきでしょう。 そんな「米大統領選挙アノマリー」からすると、今回、選挙の勝敗が未決着の段階でも、米ドル/円の90日MAからのかい離率が±2%のレンジを下抜けてきた動きは、選挙前の小動きから、米ドル/円一段安へ「豹変」が始まっている可能性があったのです。