SNSに適応できず、しんどくなる子もーー小・中・高校生ががんばりすぎて燃え尽きる前の「SOS発信」教育 #今つらいあなたへ
プロジェクト後の感想には、「困ったときには相談しようと思う」といった答えが多くある一方で、「授業は面白かったけど、やはり恥ずかしいから相談はしない」と答える子もいる。藤田さんは「自分の正直な気持ちを再確認できることが一番大切」という。 「成長の中で、人間関係の失敗やチャレンジをあたりまえに体験できる機会が減りました。教科書では、金子みすゞさんの『みんなちがって、みんないい』という言葉を習います。でもそれをリアルな友だちの中で体感しないまま思春期を迎えると、つまづきが大きくなる。早い時期から伝えることで自分や友だちを客観視し、対応の柔軟性を高めます」 小学生から高校生までの自殺者数を月別にみると、1月や7、8月が多いというデータがある。
「生きてほしいです。苦しみを自分自身で抱えたままでも、相談してもよいので、自分の納得する方法でとにかく生き抜いてほしい。SOS発信プロジェクトを一度聞くことが、苦しさと共に生き抜く選択肢の一つになれば」 日本には「つらい気持ちを吐露すること」をよしとしない風潮が根強くある。吐露することは決して弱さではない。和歌山のSOS発信プロジェクトは、つらさの吐露は次に進むための踊り場であり、新たな出会い、成長や可能性を開く扉であることを教えてくれる。