「仕事と家庭」両立しようと疲弊する人の根本原因 禅僧が解説「疲れや不安を手放す」生き方
会社での仕事中に部下が報告にやってきたら、自分の手は必ず止める。そして部下の目を見て、話を聞く。休みの日であれば、ただ「休む」。仕事であれプライベートであれ、必ず「ひとつ」ずつ、それだけに没頭するべきだということだ。 「いまはこれ」とひとつに決めたなら、それがもたらす結果を考える必要もなし。「考えながら、やる」をしない。「やる」と決めたら、ひたすら「やる」だけ。「考える」と「やる」を混ぜてしまうと、あれこれ考えながら動くことになるため、頭が疲れてしまうのである。
「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」という禅語があります。お茶を飲むときは、お茶を飲むことに心を集中し、お茶そのものになりきった気持ちでいただくこと。(中略)そんな意味です。職場でも家庭でも喫茶喫飯が大切です。どれだけのタスクを抱えていようとも、一気に取り組めるのは目の前にある1つだけ。そうであるならば、「あれも、これも」と心を乱さず、目の前にあるたった1つのタスクに徹するべきです。(74ページより)
「なすべきこと」ひとつひとつと向き合い、ていねいに取り組めば、仕事もおのずと楽しくなっていくに違いない。遊びについても同じことがいえるだろうが、ただひとつに徹することこそ、禅が伝える「幸せへのたしかな道」だということである。 ■結果は「求めない」 「やるだけやったんだから、それでいいじゃないか」 そう納得できる毎日を愚直に積み重ねることが、心安らかに生きるための極意です。 同時に、成功を収めるための秘訣でもあるところが、人生の面白いところです。
「結果自然成(けっかじねんになる)」という禅語があります。やるだけの事をやったら、結果はどうあれ、残るのは充足感のみ。 しかし、それだけの努力をしていたら、自然と結果がついてくるのがこの世の道理だという意味です。(100ページより) ビジネスの世界の常識では、「そんな悠長な姿勢では結果が出せない」ということになるのかもしれない。努力しているのに結果が出なければ、無力感を覚えることもありうるだろう。