もっと着物を身近に:レトロな美しさを纏う、豆千代モダンの魅力
筆者も豆千代さんのコーディネートに憧れて、豆千代モダンに通った者のひとりだが、当時は多くの反響があったという。 「着物に対して、共感し合える人たちがたくさんいて、すごくうれしかったですね。私が学生の頃は、着物は孤独な趣味でもありました。 当時は、同世代に着物が好きと言うのが恥ずかしい雰囲気が漂っていたので、いろいろな方に受け入れられて、『カワイイ』という思いが共感できるのが、何よりうれしかったです」
これからも日常に取り入れられる着物を発信していきたい
豆千代モダンの着物の魅力は、帯や着物の組み合わせによって、日常でもイベントでも着物を楽しめるところにある。 オリジナルデザインの着物はもちろん、アンティークの復刻も取り入れているので、気軽に華やかな着物や、大胆な配色を楽しむことにも挑戦しやすい。 しかし、最初の一歩がなかなか踏み出せない人も多いだろう。初心者が着物に挑戦するときは、どこに気をつければよいのだろうか。
「自分がどのような雰囲気で着物を着たいのかをイメージするのが一番だと思います。 たとえば、一番気軽に挑戦できるのは和洋ミックスですが、自分は和洋ミックスで着たいのか、それともきちんとした雰囲気で着物を着たいのかをイメージすることが大切です。いずれにしても一着ないといろいろ試すこともできないので、とりあえず、一着手に入れるところから始まります。 その最初の一着は、自分の心にビビッと着たものや、自分の着ているお洋服とか、趣味の延長線上にある雰囲気の着物を揃えればいいと思うんですよね」
豆千代さん曰く、王道スタイルで着物を着たい人は古典柄、和洋折衷で着物を着たい人は、縞や無地、幾何学紋様などのモダン柄を選ぶのもおすすめだという。 また、初心者だとコーディネートのセレクトも頭でっかちになりがちだが、着物はファッションと捉えて感性で選ぶのも大切だという。
「どんな着物でも、着物だけでは未完成です。そこに半衿や帯、帯締めなどがプラスされて、最後にその人自身が着ることで、初めてコーディネートが完成します。 ですので、着物は材料のうちのひとつだと考えれば、もっと気軽に楽しめるかと思います。難しく考えずに、この柄が可愛い、この色が好きだとか、自分の感性で選んでみてください。何でもありだと選びにくいと思うので、何か一つテーマや自分で縛りを決めて、それに沿って選ぶのもおすすめですよ。 着物の世界は難しそう、敷居が高いと思って不安になっている方は、まずは勇気を持って一歩踏み出してみてください。 着物のルールやしきたりについては、着物を着ることによって自然に疑問が湧いてきます。疑問が出たらしめたもので、そこから学び始めれば良いのです」