もっと着物を身近に:レトロな美しさを纏う、豆千代モダンの魅力
あと一歩の勇気が踏み出せない…そのようなファッションスタイルはいくつかあると思うが、『着物』はまさにその代表例だろう。 特にアンティーク着物のような華やかな着こなしに憧れたことがある人も多いはずだ。着物はイベントや式典などでは着る機会があっても、現代の日常生活での着用には躊躇してしまう。 そんな私たちの背中をほんの少し押してくれるブランドがある。それが『豆千代モダン』だ。 オリジナルのデザインからアンティークの復刻まで揃える『豆千代モダン』の華やかな着物は、「まさに一度は着てみたかった!」という言葉に尽きる。 若い世代から着物フリークまで虜にしている豆千代モダンの着物は、これまでどのような道のりを歩んできたのだろうか。着物ガールの憧れの存在でもある、豆千代モダンのオーナー・豆千代さんにお話を伺った。
最初は露店からのスタートだった
現在では着物好きにとっての定番となった「豆千代モダン」だが、そのスタートはまさかの露店からだった。 「元々、豆千代モダンはアンティークを取り扱っていて、最初から店舗を構えていたのではなく、『昔きもの豆千代』として、骨董市の露店がスタートです。 しかし、露店での営業はかなり過酷な状況でしたので、次第にポップアップのようなスタイルに移行していきました。 骨董市なら1日だけですが、ポップアップなら1週間ほど出店できるので、月に1週間だけ、定期的に同じ場所で開催するスタイルでお店を開くようになりました」 最初は阿佐ヶ谷の骨董市からスタートした豆千代モダン。その後、場所を借りてポップアップを高円寺で開催するようになった。
高円寺を選んだ理由は、希少価値のあるものとして着物を見るのではなく、あくまでも「カワイイ」感覚を重視している人たちに着物を見てもらいたいという思いがあったからだという。
「古着やライブ、クラブなどサブカルチャーが好きな方々に着物を見てもらいたいという思いがあり、そういう人たちが集まる場所でお店をやりたいと思ってこの場所を選びましたね。そのうち、西荻窪にも縁があって、そこでも定期的に開催するようになりました」 『昔きもの豆千代』のなかのオリジナルブランド『豆千代モダン』を2002年に立ち上げ、翌2003年には新作の常設店『豆千代モダン』を西荻窪にオープン。 現在では、実店舗はなくオンラインショップを中心に活動し、今月新宿伊勢丹で開催されたポップアップでは、多くの豆千代モダンのファンが訪れた。 当時取り扱っていたアンティークは、自分が好きなものしかセレクトしていなかったという。骨董業界や着物業界の中で価値があるもの、という視点ではなく、豆千代さんが純粋に「カワイイ」と思うものをセレクトして販売していた。