【オーストラリア】日本の環境目標、豪水素・LNG輸出を押上げ
菅義偉首相が掲げた2050年までに日本の温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとの目標は、オーストラリアで再生可能エネルギーなどを利用して生産する水素や、カーボンニュートラル(炭素中立)で生産する液化天然ガス(LNG)の日本向け輸出を押し上げそうだ。またオーストラリアでエネルギー事業を行う、国際石油開発帝石(INPEX)などに恩恵がもたらされるもようだ。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが報じた。 オーストラリアの石油大手サントスのケビン・ギャラガー最高経営責任者(CEO)は、日本の目標がオーストラリアの水素事業やLNG事業にイノベーションをもたらすと述べた。 英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは昨年、オーストラリアのLNG業界で初めて、オペレーターを務めるクイーンズランド・カーティスLNGプロジェクト(QCLNG)から炭素中立LNGを日本に輸出。また、フランスのエネルギー大手トタルは10月に入り、INPEXがオペレーターを務めるイクシスLNGプロジェクトから、同国からは2隻目となる炭素中立LNGを中国に出荷した。 ■香港企のWA水素事業に認可 サントスや地場石油大手ウッドサイドは、炭素中立のLNG生産に向けて投資しているほか、再生可能エネルギーを利用した水素生産事業にも参入している。 一方、西オーストラリア(WA)州政府は10月に入り、香港の再生可能エネルギー会社インターコンチネンタル・エナジーなどが参画するコンソーシアムに対し、同州ピルバラで風力・太陽光発電と水素やアンモニアを生産する事業「アジア再生可能エネルギー・ハブ(AREH)」について環境認可を与えた。 同事業ではほかに、香港のCWPエナジー・アジアとデンマークの風力タービン大手ヴェスタスがコンソーシアムに参加している。同コンソーシアムは、25年に最終投資決定を行い、26年から本格的に工事を始める予定だ。