【闘病】「急性大動脈解離」で奇跡の生還を遂げた加藤貴さんのケース 生活習慣は大事!
加藤貴さんは、Stanford A型急性大動脈解離とアテローム血栓性脳梗塞を経験しました。どちらも生活習慣の乱れで発症のリスクが高くなる疾患であり、加藤さんも不摂生な生活を送っていたそうです。 【イラスト解説】突然死のリスクもある大動脈解離とは 加藤さんの闘病体験から、急性大動脈解離とアテローム血栓性脳梗塞について、どのような危険があるのか、発症後にどんな生活習慣の変化があったかを知り、今後の生活に活かしてください。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年7月取材。
生活習慣の大切さを思い知る良い経験だった
編集部: はじめに加藤さんの闘病経験を通して、最も大事だと思うことや伝えたいことは何でしょうか? 加藤さん: やはり「生活習慣病を甘く見ない方がいい」ということです。私の経験した大動脈解離や脳梗塞の場合、糖尿病予備軍や高血圧などリスクのある方は特に注意してほしいです。私の場合は偶然が重なって命は落とさずに済みましたが、「車の運転中に発症していたら」「手術できる先生がいなかったら」「脳梗塞のときにすぐ病院に行っていなかったら」と想像するだけでゾっとします。今こうしてジムに通えるくらいにまで回復し、後遺症もほとんどないことは、まさに奇跡としか言えません。だからこそ、日頃の生活習慣に気を遣い、異変を感じたときは素直に病院を受診することが大切だと感じています。 編集部: ありがとうございます。次に、加藤さんの経験したStanford A型急性大動脈解離とアテローム血栓性脳梗塞について教えてもらえますか? 加藤さん: まず、Stanford A型急性大動脈解離は、心臓から伸びる上行大動脈に解離(血管が裂けること)が発生するもので、緊急手術を行わなければ命を落とす可能性が高い危険な疾患です。私は幸いにも手術ができる医師がいたおかげで、奇跡的に命は助かりました。次にアテローム血栓性脳梗塞ですが、動脈硬化で血管が狭くなり、狭くなった血管の内側に血液中の血小板などがこびりつくことで、血管が閉塞してしまう疾患です。症状は突然発症することが多く、麻痺や言語障害なども現れます。どちらも生活習慣の悪さが原因になりやすく、不摂生やストレスの多い生活を送る人ほど発症リスクが高いとされています。 編集部: 加藤さんの場合も急な発症だったのでしょうか? 加藤さん: そうです。2022年2月の休日に、ラーメン屋で昼食後、帰りの車に乗り込んだところ、突然激しい胸の痛みに襲われました。「これはやばい」と思い、店内に戻って店員に救急車を要請したところで意識はなくなりました。話によると救急車で病院に搬送され、そこで検査を受けたところ「大動脈解離」と判明し、緊急手術が決まったそうです。 編集部: 大動脈解離は急に発症することから死亡率が高い疾患として知られています。すぐに緊急手術できたうえ、成功したのは幸運でしたね。 加藤さん: その点は運が良かったのですが、問題は手術中に起こりました。上行大動脈置換術を受けたのですが、その過程で心筋梗塞を併発してしまいました。幸いにも手術は成功し、2週間ほどの入院で済んだのですが、退院して20日ほどで今度は左半身に麻痺が表れたのです。救急外来に駆け込んだところアテローム血栓性脳梗塞と判明し、今度はカテーテル手術を受けて、無事に生還できました。 編集部: アテローム血栓性脳梗塞も早期発見・治療が重要な疾患ですね。術後はどのような経過だったのでしょうか? 加藤さん: 約1か月の入院をして、その後は5か月間自宅で療養しました。幸いにも再発することはなく、療養が明けてからは職場復帰もできました。