20、30代がお金を増やすには?光熱費や保険料などの「固定費」をなるべく減らし、積立額増減がしやすい金融商品や制度を使おう
50万部を突破した『お金の超基本』(朝日新聞出版)のヒットをきっかけに、書店ではお金を取り扱う本が多く並ぶようになりました。その著者でファイナンシャル・プランナーの坂本綾子さんは「深い知識がなくても、相場に恵まれなくとも、普通に仕事や家事をしている中でお金は増やせる」と断言します。特に会社員でも個人事業主でも、20、30代の若い時期のお金の増やし方には大事なポイントがあるとのことで――。 【図】会社員が利用できる貯蓄・運用制度一覧 * * * * * * * ◆会社員は勤務先の制度を把握して合理的に積み立てを 20、30代の会社員の場合、まずは勤務先が従業員向けに用意している制度を把握しましょう。 財形貯蓄制度があるなら、給与から天引きで勤務先が提携する金融機関の商品に毎月積み立てができます。住宅財形(購入にもリフォームにも使用可能)は貯めたお金を住宅取得に使うと利子に付く税金が非課税に、財形年金は満60歳以降に年金として受け取ればやはり利子に付く税金が非課税になります。 いずれも非課税になる元本の限度額があり、併用した場合は合計額で判断されます。若いうちは、住宅財形を優先。 企業型の確定拠出年金が導入されているなら、選択肢の1つとして投資信託を。受け取りが60歳以降になるため、20年以上の長期運用が可能です。そのため、リスク度は高めでも、リターンが期待できる投資信託を選べます。 iDeCoを検討する場合は、円預金の確認を。預金が少ないなら、自動積立定期預金で一定額を貯めることを優先。余裕があるなら「つみたてNISA」がおすすめ。 掛金を勤務先が出す企業型の確定拠出年金以外は、手取りの収入から毎月積み立てることになるので、無理のない積立金額でどれを選択するか、組み合わせるかを考えましょう。勤務先の株式を買える「従業員持株会」も一考する価値があります。
◆個人事業主は円預金を多めに、運用のリスクは低めに 個人事業主は収入が安定しないケースが多い上、社会保障からの給付が少ない。もちろん、確実に収入を得ている人もいると思いますが、予想外の収入の減少や入金の遅れにも、対応できるようにしておきましょう。 まずは、円預金を確保すること。最低でも生活費の6か月分から1年分が目安です。自動積立定期預金やインターネット定期、個人向け国債を活用して、確保しましょう。 NISA口座を使って投資をする場合は、急きょ解約して資金を作る必要が生じた際に損失を最小限にするためにも、リスクが低めの運用をおすすめします。 会社員のように退職金制度がないので、節税もできる個人事業主向けの制度を活用して、老後資金を準備しておきたいもの。ただし、廃業や60歳以上が受け取り条件なので、毎月の掛金を多くしすぎると、現役時代に使えるお金が減ってしまいます。 いずれも、途中で掛金額や口数の変更はできるので、毎年このままでいいかを考え、ライフステージや収入の状況に合わせましょう。 iDeCoを使った老後資金のための運用については、受け取りまでの期間が長いので、リスクが高めの投資信託も選択肢の1つとなります。