日米比の海洋協議 南シナ海進出の中国念頭に「現状変更反対」確認
日本、米国、フィリピン3カ国の外交当局高官による海洋協議が10日、東京都港区であり、南シナ海で海洋進出を進める中国を念頭に「力による一方的な現状変更の試み」に反対することを確認した。3カ国は2025年1月のトランプ米次期大統領就任後も協力関係を継続させる方針だ。 同協議は4月に米国で初開催された日米比首脳会談を受けて設置。日本は中村亮外務省南部アジア部長、米国はラップフーパー国家安全保障会議(NSC)上級部長、フィリピンはラザロ外務次官らが参加した。 冒頭、ラップフーパー氏は「バイデン政権は特に南シナ海における中国の、ますます攻撃的で非合法な行動を懸念している」と中国を名指しで批判。米国では日米比協力の重要性が超党派で共有されていると強調した。 南シナ海問題を巡っては国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が16年、中国の「同海のほぼ全域に自国の権益が及ぶ」とする主張を退けた。しかしその後も中国は、フィリピンが実効支配するアユンギン礁(英語名セカンドトーマス礁)への補給活動を妨害するなど、領有権を巡る緊張が続いている。 ラザロ氏は「我々の合法的かつ法的に解決された海洋権益が、違法、威圧的、攻撃的、欺瞞(ぎまん)的な行動によって無視されている」と訴えた。 中村氏は3カ国の協力が「前例のない水準に達した」と評価し、協力強化の継続に意欲を示した。【金寿英】