人口減対策を重点に 奄美市、次期総合戦略策定へ 有識者会議が初会合
鹿児島県奄美市の次期総合戦略(計画期間2025~27年度)を検討する総合戦略会議(有識者会議)が26日発足し、名瀬のAiAiひろばで初会合を開いた。次期戦略は昨年度策定した市総合計画とも連動させ、人口減対策に関する重点プロジェクトとして位置付ける。社会動態をプラスに転じさせることなどを全体目標に据える方針。 現戦略が今年度末で期限切れを迎えるため、国や県の動向も踏まえて次期戦略を策定する。策定により国のデジタル田園都市国家構想交付金などの活用が可能になる。 戦略会議は産業、金融、大学、行政、労働、報道の各分野と、地域住民の代表ら委員16人で構成。座長に鹿児島大法文学部講師の馬場武氏を選出した。 会議では現戦略に定めるKPI(各種数値目標)の達成状況や、次期戦略の素案について事務局が説明し、それに対して各委員が意見を述べた。 KPIは、16ある数値目標のうち現時点で目標値を上回っているのは「市民一人当たり所得」や「市施策を通じた移住者数」など5項目。一方で、「出生数」や「観光満足度」など11項目は目標値に届いていない状況が示された。 次期戦略の素案は、目指す将来像を引き続き「しあわせの島」とし、①生活満足度向上②元気な経済活動③「しまの誇り」を次世代へ継承―の三つが基本理念。 現在はマイナスの社会動態(転入と転出の差)をプラスに転じさせることや、出生数を増やす(27年の目標値242人)ことなどを戦略のポイントとして挙げている。 素案に関し、委員からは「子育ての問題一つをとっても名瀬、住用、笠利でそれぞれ異なる課題があり、奄美市として一くくりの対策はできない」などと、地区ごとの違いも考慮し、戦略に反映させるよう求める意見があった。 また、▽高校卒業後の転出を抑制するため、通信制大学などとの連携▽Uターン推進を目的とした新たな奨学金制度の創設▽空き家の活用促進につながる家主サポート▽働きやすい労働環境を整えるための企業支援―などに関する提案もあった。 次期戦略案は、同会議に加え、市長ら3役と各部長で構成する推進本部や担当課長でつくる作業部会での議論、パブリックコメント(意見公募)を経て、来年の市議会3月定例会へ上程、年度内の策定を目指す。
奄美の南海日日新聞