カネカ、ヨーグルト市場に参入 還元型コエンザイムQ10で差別化 販売目標は初年度10億円、24年に30億円
カネカは、発酵・バイオ技術を活用してヨーグルト市場に参入する。 25日から、独自素材の還元型コエンザイムQ10とビフィズス菌、3種の乳酸菌を配合した「わたしのチカラQ10ヨーグルト」(90g)をグループ会社のカネカ食品が販売する。 ベーカリー、スーパー、コンビニ、同社オンラインショップなどで一般のヨーグルトとして税別138円の希望小売価格で展開していく。 18日発表したカネカの田中稔社長は「世界が今直面しているクライシスに対して貢献できる重点分野を、環境・エネルギー、食糧、健康の3つに定めた。コロナ対応もまさに大きなミッションの1つで世界を健康にすることに貢献したい」と意欲をのぞかせる。 今回のヨーグルトの開発は、カネカのものづくりの原点とされる発酵・バイオ技術がベースになっている。 「食品・医薬品・医療機器・サプリメント・生分解性ポリマーPHBH・バイオと極めて多岐にわたる技術・製品群を最大限活用して治療薬やワクチン、PCRの検査試薬・検査キッドなどコロナ対応に全社あげて取り組んでいる。消費者の健康意識の高まりには、還元型コエンザイムQ10を用いて世界的に対応している」と述べる。 還元型コエンザイムQ10は、ミトコンドリアのエネルギー産生を活性酸素から守りながらサポートする機能が同社の研究で確認されている。 榎潤取締役常務執行役員は「体内のコエンザイムは20歳をピークに加齢とともに減少する傾向にあり、食事からでは摂取にしにくく、世界ではサプリメントを利用していただいている」と説明する。 国内ヨーグルト市場が昨年、コロナによる健康意識の高まりを背景に、4000億円規模へと再成長したことに着目して、サプリメント素材と乳酸菌の組み合わせでヨーグルト市場に参入する。 「当社調べで還元型コエンザイムQ10は男女・年代問わず幅広い成分認知率を獲得し、特に30-60代女性の認知率は7割後半となっておりヨーグルト市場で一定のポジションが獲得できる」とみている。 販売目標は、初年度が10億円で24年に30億円を見込む。目標達成に向けて、ドリンクタイプや、グループ会社であるAB-Biotics社(ABB社)の乳酸菌を使った商品などラインアップの拡充も予定している。 「乳製品事業に取り組み始めたのが3年前。今回、サプリメントと組み合わせたのは、日々の健康に貢献したいという強い意思のあらわれ。今後、健康を軸にした展開が食品事業の中でウェートを上げていくと考えている」。
カネカは1949年に設立し、プラスチック素材や化成品に始まり、エレクトロニクス素材、住宅、太陽電池、繊維、医療機器、医薬品、生分解性ポリマー、有機EL照明、食品といった非常に多岐にわたる事業を営み「まさに異業種の集まりといってもいい多様性が特徴となっている」(田中社長)。