秋田ノーザンハピネッツを接戦でも勝ち切れるチームへと変える伊藤駿「頑張るだけではダメなんです」
ブースターの叱咤激励に「本気で応援してくれている」
文=丸山素行 写真=B.LEAGUE 秋田ノーザンハピネッツは8勝7敗と勝ち越して、バイウィークを迎えた。激戦の東地区において、順位こそ下から数えるほうが早い7位に甘んじているが、チーム力は以前よりも明らかに上がっている。試合を重ねるにつれ存在感を増している伊藤駿も「強豪と肩を並べることができるくらいの力はある」と胸を張る。伊藤は秋田がもう一つステップアップするためのキープレーヤーとなる。 ──バイウィークを迎えました。この中断期間をどのように過ごしていますか? 今日はウェイトが終わって、休憩してから午後練習です。オフを挟んでまた今日からという感じで、強度も上げ過ぎず下げ過ぎずといつも通りですね。 ──ちなみに伊藤選手はSR渋谷から秋田へ移籍して2年目を迎えますが、秋田での生活には慣れましたか? そうですね。もともと田舎で暮らしたいという願望はなく、それこそ東京や関東でずっと過ごすと思っていました。でも、いざ住んでみたら「住めば都」じゃないですけど、自分のペースで過ごせて本当に良い環境だと思いました。逆にこれから東京に住むことになるとキツいかなって。バスケに打ち込めてすごく充実していますし、こっちのほうが合っているかなと。 ──髪色も変えてヘアバンドとスタイルが変わりましたね。そのせいか、プレースタイルも少しワイルドになり、ディフェンスでも秋田色に染まってきた印象があります。 飽きたのでハイライトにして、前髪が邪魔なのでバンドもするようにしています。プレースタイルの変化はあまり自分では実感していないですけど、慣れはありますよね。昨シーズンは特殊なシステムに慣れるのにすごく時間がかかりました。落とし込む作業に長く時間がかかっていたので、それがようやく花開いたという感じですかね。身体のケアと食事に気を遣うようになって、トレーニングの量が増えたことも関係あるかもしれないですね。 でも、実際に「今年のお前めちゃくちゃ良いな」とか、対戦相手と話す時に結構言われます。(小野)龍猛さんも「絶対こっちのほうがいいじゃん」って言ってくれたりしました。 ──やはり皆さんもこれまでと何かが違うと感じているんですよ! 実感はないんですけどね。僕自身、プレータイムがどうとか先発で出たいとか、秋田に来てからあまり思わなくなったんですよね。どちらかというとコーチングの目線で話すようになってきたというか、もっと若手にプレータイムをあげればいいと思ったり。これまでよりも支える側になったからですかね。もちろん勝負どころ出たいという気持ちはありますよ。矛盾してますが、その気持ちがなくなったら終わりだと思いますし。 ──『クレイジーピンク』にも慣れましたか? やっぱりすごいですね(笑)。初めて公式で試合をしたのがアーリーカップで、仙台が会場だったんですけど、ゼビオアリーナの半分がピンクで埋まっていました。地域性なんですかね、熱量が違うというかグイグイ来るというか。今までは負けた時「次、頑張れよ」と言ってもらっていましたが、こっちだと「何やってんだよ」という言葉も聞けるのでそこの熱量が違います。プレッシャーもありますけど、本気で応援してくれているんだなって気持ちがすごく伝わります。それに応えないとと思い、やっている充実感は違いますね。