都内からまた消えた「構内踏切」 生き残っている駅の特徴とは 感じるローカル線情緒
ローカル線情緒ある「構内踏切」 東京都内でどこにある?
2021年3月下旬、東急池上線の池上駅(東京都大田区)ホーム真上に商業施設「エトモ池上」がオープンする予定です。フードショップなどのほか、区立図書館やクリニック、保育園やフィットネスジムなども入ります。 【写真】柴又 亀戸水神 東あずま… 東京の下町に残る構内踏切の数々 この竣工を控え、2020年7月に池上駅から消えた鉄道施設がありました。それは構内踏切です。また西武多摩川線の多磨駅(同・府中市)でも、2020年12月23日の橋上駅舎化に先駆けて10月に構内踏切が消滅しています。 構内踏切とは、ホームと改札口の間にある踏切のことです。都市圏にあるほとんどの駅は現在、ホームと改札口を結ぶ通路と線路は立体交差になっていて踏切を通ることはまずありません。一方、乗降客が少ないローカル線の駅などでは、構内踏切をよく見かけます。そのため構内踏切のある風景は、ローカル線の風情、または橋上駅舎化される前の昭和の香りを感じさせてくれます。 都内を走る大手私鉄8社の駅で構内踏切が存在するのは、以下の6駅が挙げられます。 ・西武多摩湖線 一橋学園 ・西武多摩川線 新小金井、白糸台 ・東武亀戸線 亀戸水神、東あずま ・京成金町線 柴又 東武亀戸線の電車はわずか2両編成、それ以外の路線も4両編成です。短い編成の電車が走る路線、すなわち乗客が少ない路線にだけ構内踏切が残されているわけです。 実際、西武多摩川線の新小金井駅(同・小金井市)は、大手私鉄の駅で年間の利用者が少ない順から5番目、亀戸水神駅(同・江東区)が8番目となっています。
乗りたいけど踏切に阻まれて… 構内踏切を2種類に分けてみる
このほか構内踏切のある駅の順位を見ると、白糸台駅(東京都府中市)が18番目、東あずま駅(同・墨田区)が27番目、柴又駅(同・葛飾区)が36番目と続き、かなり離れて一橋学園駅(同・小平市)が110番目前後となっています。 構内踏切を現場でよく見てみると、2種類のタイプがあることが分かります。 ひとつ目のタイプとして、2面2線(ホーム2面と線路2本)構造の柴又駅を取り上げてみます。改札口を通ったすぐ先は1番ホーム(京成高砂行き)です。改札口から京成金町行き電車が発着する2番ホームに向かう場合、構内踏切を渡らなければなりません。構内踏切は京成金町寄り(乗りたい電車の前寄り)にあります。京成金町行き電車の到着が近づくと構内踏切の遮断機が下ります。その後、電車が停車・発車して駅を離れるまで遮断機はずっと下りたままです。警報器が鳴り始めた時、まだ改札口付近にいた乗客は、電車が接近してきてから目の前を走り去るまで、うらめしく見ているしかありません。 亀戸水神駅と新小金井駅もこれと同じタイプですが、新小金井駅の構内踏切は、ちょっとした気配りが見られます。