70代に突入したのでそろそろ相続税の対策を始めなくてはと思っています。税理士に相談する前に、なにか自分たちでできることはありますか?
親が子に財産を引き継ぐことを意識したときに、もしかすると相続税が発生するかもしれないと分かると、「すぐに相続税対策をしなければ」と焦りがちです。そのため、いろいろと調べてみても、インターネットには相続の情報は多く、なにが正しいか混乱してしまうことでしょう。 そこで、相続のことが気になりだしたときにチャレンジしてほしいことを解説していきます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
資産・負債の一覧表を作成して相続税額が発生するか確認
まずは、相続の対象となる資産がどれだけあるのか把握する必要があります。そのために、相続する資産・負債の一覧表を作って、どれぐらいの相続税額が発生する可能性があるのか確認することが大切です。細かな税額を知りたいのであれば、税理士に依頼して試算してもらうのも一つです。 しかし、税理士に依頼すると費用もかかるので、ひとまずは、相続税額が発生する可能性があるかどうかが分かれば十分です。 資産・負債の一覧表は、できるかぎり簡単に作りましょう。円単位まで細かく作る必要はありません。一つだけ注意したいことは、過去の数字と比べられるように、価額の動きが分かるような一覧表にすることです。 なお、不動産(土地・建物)についての価額は、相続税の計算において少し複雑です。固定資産税の課税通知書に記載されている、固定資産税評価額をベースとします。建物については、その固定資産税評価額を記入してください。土地については、固定資産税評価額÷0.7×0.8の金額を記載してください。 図表1 (例)
筆者作成 例のような一覧表ができれば、あとは簡単です。 図表1のなかの【差引】の金額と、相続税の基礎控除額である「3000万円+600万円×法定相続人の数(注)」を比べてください。【差引】のほうが大きければ相続税が発生する可能性が高いです。 ただし、「【差引】のほうが大きい=必ず相続税が発生する」ではありません。相続税額の計算は複雑なので、さまざまな特例を使うと相続税が発生しないこともあります。しかし、相続税「額」対策が必要になる可能性が高いということが分かります。 どうしても相続税が発生するかどうかを正確に知りたいのであれば、税理士に依頼しましょう。 (注)法定相続人の数は、被相続人の法定相続人の数です。簡単には以下のとおりです(実際とは異なる場合もあります)。 亡くなった人を中心に考えると、相続人が配偶者と子が1人であれば2人、相続人が子2人のみであれば、2人というイメージです。