遅れてきた35番のセンターバックの躍動。前橋育英高校・鈴木陽がチームにもたらすポジティブな影響の意味 【NEXT TEENS FILE.】
もちろん本人もBチームでの時間を過ごしていく中で、期する想いは携えていたという。「ずっとトップチームで試合に出ることは考えていましたけど、トップチームで出るだけではなくて、活躍することが目標だったので、試合に出たらしっかり結果を残して、レギュラーに定着するイメージはありました」。巡ってきたチャンスは絶対に逃さない。ここからのし上がってやるという確かな覚悟があった。
川崎U-18の強力なアタッカーたちと互角に渡り合いつつ、0-0で迎えた74分には正確なフィードを前線に送り届けると、DFに競り勝ったオノノジュ慶吏が先制点を叩き込む。この1点はそのまま試合の決勝点に。昌平戦は逆転負けを喫していたため、鈴木は自身のプレミア初白星をホームで、しかも完封勝利で手にすることとなる。
「彼の良さは自分もわかっていますし、そこを前節も今節もしっかり発揮できていたので、徐々にみんなからも監督からも信頼を掴んでいるんじゃないかなと思います。下のカテゴリーから良い選手がどんどん出てくると、もともとプレミアにいた選手も刺激になりますし、良い競争にもなるので、チームの活性化に繋がるなと思いました」(石井)。一際大きな35番を背負う『遅れてきたセンターバック』の存在が、この日の90分間の中で強く印象に残った。
11月24日。プレミアリーグEAST第20節。前橋育英は大一番を迎えていた。この日の相手は首位を走る鹿島アントラーズユースだが、勝点差はわずかに3ポイント。10月以降のリーグ戦では4連勝を記録しており、さらに高校選手権県予選も勝ち抜き、全国大会出場を手繰り寄せる。その間の公式戦の連勝は7まで伸びていた。
プレミアデビューを飾った昌平戦以降、すべての公式戦にスタメン出場を続けてきた鈴木は、この日もセンターバックの一角として当然のように試合開始からピッチへ送り出される。「しっかり自分の特徴を出せば、プレミアでもやれるようになってきたとは思います」。この2か月強の時間を経て、地道に、だが確実に自信を膨らませてきた。
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