疲れがたまって、寝ても疲れが取れずクタクタです【高尾美穂先生のお悩み処方箋】|Mart
産婦人科医の高尾美穂先生が、体も心も揺らぐ30~40代の女性に優しくアドバイス!第4回の前編は、寝ても疲れが取れずつらいという、Sさんのお悩みについてです!
教えてくれたのは...高尾美穂先生 産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。
生活のベースを整えないと、仕事のやりがいや自己実現は感じられない!
Sさん:最近疲れがたまっていて、特に仕事が忙しいときなど、「寝たのに疲れがとれない」という日があります。昔から寝起きがいいので朝は起きられるのですが、そういうときはだるさが残ってしまうんです。 高尾先生:睡眠時間はどれくらい取れていますか? Sさん:普段は12時過ぎに寝て6時に起きる生活ですが、忙しいときは寝るのが1時を過ぎることもあります。 高尾先生:それは睡眠時間が圧倒的に少ないですね。Sさんはまず、睡眠への意識を変えていくことが必要です。今は、いわゆる「睡眠負債」の状況。これが続くと、体はギリギリの状態になるので免疫力も落ちるし、40代の女性でいえば更年期症状もひどくなるなど、さまざまなリスクにつながります。さらにこうしたリスクだけでなく、生活する中で幸福感や充実感を得るためにも、睡眠は非常に大事なんですよ。 Sさん:幸福感や充実感ですか? 高尾先生:はい。人間は、ベースにある「生理的欲求」や「安全欲求」を十分に満たさなくては、幸福感や充実感につながる高度な欲求には進めないといわれています。これは、アメリカの心理者、アブラハム・マズローという人が提唱した「マズローの欲求5段階説」という有名な理論を知るとわかりやすいかもしれません。「マズローの欲求5段階説」では、人間の欲求を5段階に分けると、ベースにあるのが食べる、休むなどといった「生理的欲求」。これが満たされると次にケガをしないよう安全な環境で過ごすといった「安全欲求」が芽生えます。さらにここが満たされると次に「社会的欲求」、そして「承認欲求」、最後に「自己実現欲求」という順に人は自分の欲求を満たしていくというものなんです。 Sさん:なるほど!仕事で自己実現をしたいと思っても、睡眠を削っていて仕事に力を注いでいると充実感や充足感を得ることはできず、ただ疲弊していくばかり、ということなんですね。 高尾先生:そうです。睡眠時間を考えると、Sさんは夜23時には寝たほうがいいですね。23時に寝るためにはどう過ごせばいいか、時間を逆算して生活を整えてみてください。 Sさん:23時に寝ようとすると、かなり頑張らないといけないかもしれません……。