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熊谷6人殺人事件で無期懲役判決 遺族の慟哭「被害者に寄り添ってほしい」

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文春オンライン

「被害者参加」を決断

 事件から約8カ月後、バイロンは、住居侵入、強盗殺人、死体遺棄罪で起訴されました。しかし、裁判が始まるまでにそこから約1年8カ月もの時間を要してしまいます。バイロンに事件当時、責任能力があったかということと、事件後、裁判を受ける意味を理解できるか、という訴訟能力を巡って精神鑑定が何度も行われたからです。  検事から、「裁判自体、開けないかもしれない」、「裁判をしても責任能力がないということで無罪になるかもしれない」と説明を受け、加藤さんはその理不尽さに苦しみます。バイロンに何かの異常がなければ、何の落ち度もない人を6人も殺せるはずはないからです。  加藤さんは、家族3人を一度に失った悲しみ、怒りに押しつぶされそうな気持ちを必死につなぎながら、裁判が始まるのを待つしかありませんでした。家族で住んでいた家が殺人現場となってしまい、そこに一人で暮らすのは耐えられないので実家に戻り、仕事もずっと休んでいました。  加藤さんは、裁判に「被害者参加」することを決めました。被害者参加とは、事件の被害者や遺族が、刑事裁判に参加して審理に関わり、被告人に質問したり、検察官とは別に求刑したりできる制度です。その際、弁護士に援助を求め、一緒に活動することができます。その役割を担う弁護士を「被害者参加弁護士」といい、被害者参加する被害者やご遺族に制度の説明をしたり、被告人質問や求刑意見を一緒に考えたり、被害者参加人に代わって意見を述べたりします。髙橋正人弁護士と私は、加藤さんから委託を受け、被害者参加弁護士として活動することになりました。加藤さんは、被害者参加をする理由について、「なぜ自分の家族が殺されなければならなかったのか、バイロンに直接聞きたいから」と話してくれました。

 2018年1月、ようやく裁判員裁判が始まり、予定通り、加藤さん、髙橋弁護士、私も一緒に参加しました。バイロンは、法廷で不規則発言を繰り返し、なんらかの精神疾患があることは見て取れましたが、供述内容から事件のことはしっかり認識しているようでした。  加藤さんは、被害者参加制度を利用し、全ての期日に出席して審理を見守り、自ら被告人質問をしたうえで、「心情に関する意見陳述」を行いました。裁判官と裁判員に、加藤さんの妻と娘たちがどれほど素晴らしい人だったか、かけがえのない人だったか、3人を失ったことがどんなに辛いか、加害者を憎んでいるかを知ってほしかったからです。少し長くなりますが、加藤さんの当時の心情がよくわかるので、意見陳述をそのまま載せます。 × × × × ×

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