ロックバンドNITRODAYの小室ぺい 映画『君が世界のはじまり』で初挑戦
閉塞的な地方都市に生きる6人の若者たちの、危うくはかない日々を描いた『君が世界のはじまり』で、サッカー部に所属する業平役を演じた小室ぺい。 【関連記事】クリープハイプ・尾崎世界観が おこもり中に読んだ本&マンガ3冊 業界注目のロックバンドNITRODAYでフロントマンを務める彼が、演技初挑戦への思いを振り返る。
●NUMBER GIRLにハマり、自身のバンドを結成
――高校の軽音部入部をきっかけに、音楽活動を始められたそうですが、それまでに音楽に興味はあったのでしょうか? たまたま知り合いからもらったギターが家にあったので、中3のときからいじったりしていました。それで高校で軽音部に入り、友達からいろいろなことを教えてもらっているうちに、NUMBER GIRLにハマったんです。 NUMBER GIRLやビートルズのコピーから始めて、自分で曲作りをするようになりました。 ――その後、2016年3月にNITRODAY(当時の表記は、ニトロデイ)を結成する経緯は? 軽音部では基本コピーバンドだったので、ライブハウスのイベントで知り合った趣味が合う人たちに声をかけるうちに、自分の曲を一緒にやる今のバンドメンバーが揃いました。ベースの松島(早紀)以外、学校はバラバラですけれど、年齢が近いメンバーが運良く集まった感じです。 ――バンド名の由来、そして芸名を小室ぺいにした理由は? バンド名は、みんなで出し合ったものをいろいろ組み合わせていくなかで、語感を重視して選びました。本名は小室哲平(おむろ・てっぺい)なんですが、そのまま漢字だと、字面が小室哲哉さんに似ていることで、あえてニックネーム的な感じに変えてみました。
●幕張メッセのステージに立つ一方「短歌甲子園」でも優勝
――結成から数カ月にして、ロッキング・オン主催オーディション「RO69 JACK 2016 for COUNTDOWN JAPAN」で優勝。年末に開催された「COUNTDOWN JAPAN16/17」の出演権を手にされます。 結成後、月に2、3回ライブハウスに立ちながら、「受かればいいなぁ」ぐらいな気持ちでオーディションに応募したのですが、順調に進んでいきながらも、さすがに決勝大会で、自分たちの名前が呼ばれるとは思いませんでした。 同時優勝した同年代のbetcover!! とのいい出会いもありました。その後の幕張メッセのステージは客席が真っ暗だったこともあり、まったく緊張しませんでしたね(笑)。 ――その一方で、17年の「牧水・短歌甲子園」団体戦で全国優勝されますが、短歌を始めたきっかけは? 高2のとき、軽音部と文芸部を掛け持ちしている先輩がいて、僕が曲を書いているのを知っていたので、ある日、歌会に声を掛けてくれたんです。それをきっかけに、文字数が制限されている短歌の面白さを知り、僕も文芸部と兼部するようになったんです。 短歌を始めたことで、自分がどういう歌詞を書きたいのか? というものがハッキリ見えてきました。チームのみんなに助けられ、全国優勝をすることができましたが、僕自身、短歌に勝ち負けが明確にあるとは思ってないので、あまり実感はないですね。 大会後の食事会で、俵万智さんにお会いできたのも、いい思い出です。 ――今回、映画初出演となった『君が世界のはじまり』では、ふくだももこ監督から直接、出演オファーが来たそうですね。 ある日、バンドのインフォメールに、制作会社さんから直接メールが来ました。ふくだ監督は、僕が以前「クイック・ジャパン」に書いた文章を読んだことをきっかけに、バンドのことも知ってくださったようなんです。 僕自身、演技をすることなんて考えてもいなかったので、「どうしよう?」と、てんやわんやだったのですが、バンドメンバーのみんなも「いいんじゃない?」と言ってくれたので、監督にお会いしました。とても光栄な話だったので、断る理由はありませんでした。