「まるで一般企業の採用面接のよう」「職業としてのアイドルがわかる」との声も…。Netflix「タイプロ」が非ジャニファンも虜にする理由とは?
また、候補生に対して抱いた印象を、濁さず直接本人に伝えるスタンスも、timeleszの誠実さを表していると感じた。先ほどの菊池のコメントを借りるならば、「言葉1つが命取り」な芸能人である以上、波風を立てずに言葉を呑み込むほうが安全という考え方もできるだからだ。 これはtimeleszに限らない話だが、特にアイドルのファンではないコンテンツの視聴者が、アイドルたちの精神性を知る機会は意外と少ない。例えば、メディア露出の多い音楽番組やバラエティ番組を見るだけでは、今回のオーディションでわかるような職業アイドルとしてのまじめな一面に触れることは難しいだろう。
そのため、彼らのことをよく知らない視聴者にとっては、『タイプロ』がこれ以上ない“timelesz入門コンテンツ”として機能する。本来であれば、ファンでなければ知り得なかった彼らの本質的な魅力が直球で伝わってくるオーディション番組だからこそ、『タイプロ』はこれだけ多くの視聴者に響いているのだ。 ■“デビュー13年目の挑戦”がなにを生むのか 最新回episode02では、2次審査に参加した約350名のうち36名の通過者が発表され、一気に人数が絞られた。とはいえ、ここまで配信されたエピソードはまだ審査の序盤であり、来る新体制をイメージできるほど差し迫った現実味はあまりない。ある意味では、このあとの3次審査からが本格的なスタートになりそうだ。
今後は候補生同士がグループを組んでのパフォーマンス審査が予定されている。メンバーの松島聡が新メンバーに期待していると話す“協調性”がネックになってくるかもしれない。 『タイプロ』本編の中では、メンバーから「ここで出会った仲間たちと、アイドル人生のラストを歩むつもり」「これが最後の挑戦になる」といった発言もあり、オーディションに臨むうえでの並々ならぬ覚悟を感じた。その腹のくくり方こそが、新生timeleszを一層国民的な人気者に押し上げる可能性にもまた期待したくなる。
改名前、Sexy Zoneとして2011年にデビューした彼らは、男性アイドルグループとしてすでに中堅のキャリアに差し掛かっている。グループから独立してネクストキャリアを歩むアイドルもめずらしくなくなった昨今、あくまでグループとしてさらなる高みをめざすtimeleszが、新体制となった先でどんなアイドル像を見せてくれるのか。まずは『タイプロ』の今後を楽しみに見守りたい。
白川 穂先 :エンタメコラムニスト/文筆家