大西卓哉氏が搭乗–宇宙飛行士送迎ミッション、1カ月延期で3月下旬に打ち上げへ
米航空宇宙局(NASA)は米国時間12月17日、国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士送迎ミッション「Crew-10」の打ち上げを2025年3月下旬に延期すると発表した。Crew-10に搭乗する日本人宇宙飛行士の大西卓哉氏のISS滞在開始は1カ月延びることになる(同氏は第73次長期滞在で船長を務めることが決まっている)。 Crewミッションは、Space Exploration Technologies(SpaceX)の宇宙船「Crew Dragon」を使ってISSとの間で宇宙飛行士の送迎をNASAが有償でSpaceXに委託する「商業乗員輸送計画(Commercial Crew Program:CCP)」の一環。 Crew-10を延期する理由として新しいCrew Dragonの処理を完了させるためとNASAは説明。Crew Dragonの新船は1月下旬に米フロリダ州の施設に到着する予定となっている。 現在ISSに滞在している宇宙飛行士の2人、NASAに所属するNick Hague氏と、ロシアRoscosmosに所属するAleksandr Gorbunov氏は「Crew-9」で2024年9月にISSに到着した。 Crew Dragonは通常、4人の宇宙飛行士をISSに送迎する。Crew-9に搭乗したのが2人なのは、2024年6月に米Boeingの宇宙船「Starliner」の有人飛行試験(CFT)としてISSに向かったButch Wilmore氏とSuni Williams氏の2人をCrew-9に乗せて地球に帰還するため(Starlinerは安全性に懸念が持たれていたが、帰還後に有人でも安全だったとしている)。 2025年2月に予定されていたCrew-10の打ち上げが延期されたことで、StarlinerでISSに向かったWilmore氏とWilliams氏の地球帰還はさらに1カ月延期されることになる。 Crew-10でISSに送迎される宇宙飛行士は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西氏のほかにNASA所属のAnne McClain氏とNichole Ayers氏、Roscosmosに所属するKirill Peskov氏。Crew-10への引き継ぎの後に、Wilmore氏、Williams氏、Hague氏、Gorbunov氏の4人はCrew-9で4月上旬にも地球に帰還する見込みだ(Wilmore氏とWilliams氏のISS滞在期間は10カ月になる。当初の滞在予定は約1週間)。 Crew-9に使われているCrew Dragonは「Freedom」。現在、活用されているCrew DragonはFreedomのほかに「Endeavour」「Endurance」「Resilience」の計4機。ここに新しいCrew Dragonが追加されることになる。 海外メディアのSpace.comによると、5機目が追加されることでSpaceXの商業サービスはより多用途になると説明。例えば、5機目があることで「Crew-9とCrew-10のミッションを中断することなく打ち上げ可能であれば、NASAはStarlinerのWilmore氏とWilliams氏をより早い時期に帰還させるために利用できた可能性がある」と説明している。
塚本直樹